第36話 転職支援ツール(2035年)

文字数 1,025文字

(スミスが転職支援ツールの解説をする)

スミスが口を開いた。

「日本には、長い間ジョブマーケットがありませんでした。労働市場について言えば、一種の社会主義の時代が長く続いたのです。

デジタルシフトによって、労働者の価値は、クリエイターに価値になり、他の人のできないことができる人は高給を得ることができるようになりました。一方、ルーチンワークを効率良くこなす、それまでの高給を得てきた人の仕事は、コンピュータシステムにとって代わられました。医師や裁判官の仕事も、全て、クリエイティブではありません。裁判官によって、判決が変わってしまうようなクリエイティビティや、医師によって、病名の診断が異なってしまうようなクリエイティビティは歓迎されません。専門職と言えども、クリエイティビティを発揮すべき部分を見つけられなければ、高給は得られません。

この2つの条件によって、日本では、労働者が自分の労働の価値を正しく判断することが困難になっています。

転職支援ツールは、労働者が自分の労働の価値を正しく判断する能力を養うことで、転職を支援します。自分の能力不足な点に気づかせ、有効な再教育の方向性を明確にします。

転職支援ツールは、自治体OSではなく、アプリです。自治体OSに高度に対応しているリストAの*が3つ以上のアプリがお薦めです。アプリ開発協力会社との関係で、個別アプリの説明はできません。自治体OS導入の動機には、支出の削減がありますが、これは、解雇を含みます。削減幅が大きいと解雇者の数も多くなるので、転職支援ツールの導入は必須です。

転職支援ツールは、再教育システムではありませんが、再教育の入り口までを担当します。転職支援ツールは、適正診断と再教育の入口までを担当します。適正診断とは、次の機能です。

1)本人が、今の技能で、転職した場合の就職のしやすさ、予想される収入を示します。

2)本人が転職を考えている分野毎の技能評価をします。

3)本人の学習能力、今後求められる就職口の数と収入、再教育に必要な時間と努力をレベルごとに推定します。

努力にも、学習効果があります。

最初は、少しの努力でできる課題を解決します。

そうして、成功体験を脳に覚えさせると、次第に、難しい課題に対して、大きな努力をすることが苦痛でなくなります。

この段階的に難易度をあげて、成功体験を、脳に覚えさせることが重要です。

就職支援ツールは、こうした成功体験を身に着けるように、アドバイスをします」
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