第11話 システム人材(2035年)

文字数 1,782文字

(自治体OSに、必要なシステム人材について、議論がなされる)

鈴乃木が、口を開いた。

「ところで、システム担当の人材はどのくらいいますか」鈴乃木が、口を開いた。


「総数は、調べないとわかりません、この建物の担当課だけでも30人以上はいます」智子がこたえた。

「人数を聞いたのは、システムの運用というと、人が、何人と考えられる場合が多いからです。コンピュータシステムを入れると合理化できて人減らしができる理由は、何だと思われますか」鈴乃木が聞いた。

「それは、コンピュータシステムが、人間に代わって仕事をしてくれるからでしょう」智子がいった。

鈴乃木が、口を開いた。

「そうです。コンピュータシステムは、まさに、人間の代わりになるのです。これは、システム運用でも同じです。コンピュータシステムは、人間が手伝えば、人間と同じ仕事ができます。DXのために、専門の部署を作って、人を雇えば、逆に、コンピュータシステムから、人間が仕事を奪ってしまいます。これは、馬鹿げています。しかし、問題解決ができなければ部署を作って、そこに、人員を配置するという思考パターンが、習慣になっていて、間違いに気づかないのです。ですから、システム運用能力を考えるときには、常に、「人間の能力+コンピュータシステムの能力」を考えないとおかしくなります。ここで、人間の能力とは、コンピュータシステムに命令して、人間の代わりをさせる能力です。そして、コンピュータシステムに命令する方法は、プログラミングしかありません。もちろん、どのような命令を出すべきかという状況判断も必要です。しかし、最終的には、コンピュータシステムに命令を出せなければ、前に進みません。

システム運用をコンピュータシステムに分担させる効率的な方法は、クラウドシステムです。このため、自治体OSはクラウドOSになっていることは、先に、申し上げました。ここに、問題があります。自治体が、お使いのアプリで、クラウドOSに対応していないものがかなりあります。この場合には、スタンドアローンのOSをネットワークで接続して使っています。リストAの*が3つ以上のアプリであれば、クラウドOS用のバージョンにバージョンアップできます。しかし、それ以外のアプリは、スタンドアローンOS用です。自治体OSでは、このスタンドアローンOS用アプリでもデータだけは、クラウドに載せます。これは、自治体OSの上に仮想マシンを作って、仮想マシンにスタンドアローンOSを載せる方法です。この方法は、移行期にのみ必要です。この場合には、システム運用には、2種類のOSを理解できないと務まりませんので、コンピュータOSのバイリンガルの能力が必要です。

リストAの*が3つ以上のアプリであれば、弊社とアプリ開発者の間で、綿密な連絡が取れていますので、ユーザーが、システム運用で分担すべき役割は、小さくなります。一方、スタンドアロンOS対応しかできていないアプリの場合には、システム運用について、弊社ができることは限られています。これは、俗に、ITゼネコンと呼ばれるようなビジネスをしているアプリ開発者の場合に問題になります。この場合のアプリは、特殊化され、他のアプリ開発者に移行できなくすることを目的に意図的に偏ったシステムとして開発されています。アプリ開発者は、内部仕様やインターフェースを非公開にすることで、他社の介入を排除しています。この手の性悪なアプリは、早晩、メンテナンスが不可能になりますので、利用を中止して、他のアプリに切り替えるべきです。

こうした特殊なアプリか、否かは、アプリケーションコンバータが使えるか否かで判断します。標準的な関数と入出力を使っているアプリであれば、コンバータで、自治体OS用のコンピュータ言語を使ったアプリに自動変換できます。これができないアプリは、特殊なアプリです。特殊なアプリは、ネットワークのセキュリティ上の弱点になりますので、利用を中止すべきです。

弊社が、OSに特化して、アプリをほとんど開発していないのには、訳があります。
それは、アプリ開発者に対して、中立を保つことで、ユーザーに真に、性能の良いアプリを推奨できるからです。自治体OSを販売することは、アプリや仕事のDXに付いて、中立的なコンサルテーションができることを意味します」

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