第5話 アイリス現象(2027年)

文字数 655文字

(新会社を立ち上げて、無人工場を作る手法が、流行し、アイリス現象と呼ばれた)

自動車メーカーは、ゼロエミッションを目指して、EVの開発に邁進した。しかし、途上国のメーカーとの価格競争に巻き込まれた。これは、自動車大手の唐山自動車にも当てはる。

これは、かつて、日本の家電メーカーが遭遇した課題の繰り返しでもあった。液晶パネルや太陽光発電パネルから、日本のメーカーが撤退したケースも同じ原因であった。

日本の家電メーカーが、価格競争に勝てずに撤退していった中で、逆に成長したメーカーがある。アイリスコヤマである。アイリスコヤマは、最初は、中国の工場で、生産を行なっていたが、日本国内に無人のロボット工場を作ることで、国内生産でも、海外の工場と同じレベルまで、製造コストを下げられることを証明した。

つまり、雇用を優先して、現在の製造ラインを維持する方法では、製造業の生き残りはできず、雇用も失われる。唐山自動車は、当初は、雇用中心の経営戦略を立てていた。しかし、この方法では、工場へのロボットの導入は、労働組合との協議事項になる。この方法には、世界のEV生産の変化のスピードに追いついていけない問題があった。

唐山自動車は、無人工場に移行する労働組合との協議をあきらめた。無人工場のラインで普及価格帯のEVを組み立てる別会社を設立した。この会社には、アイリストミタというニックネームがついた。

製造業の生き残りのために、無人工場で、製品を生産する別会社を設立するケースが増えた。

これは、アイリス現象とよばれ、ブームになった。
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