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文字数 1,103文字

「あんたらの行動とは?」
「儂らは『イルミナティ』という組織だ。つまり暁の騎士団だな。社会的に虐げられた人間の救済活動をしておる。具体的にはDVの被害者とか薬物依存の患者とか強制労働させられている人とか、そうした被害者を支援したり、救済したり、場合によっては警察の介入を要請したりすることもある」
「ねえ、『運命の子供たち』の話でもしてあげたら」
 蓮華が鰐十郎の横の席に座りながら、ピーナツの入った皿を置いた。
「そうだな。そうした多岐に渡る活動の中で、ある事から関連して『運命の子供たち』の存在を知った。そして、それは儂の過去とも大きな関係性があったのだ。この話の詳細は追い追いわかると思うが、儂らの活動の一環として彼らとコンタクトをとるという項目が加わったのだ。そして、一言で言うと『運命の子供たち』とは『力』をもった子供、つまり超能力者なのだな」
「成程、あんたらは社会活動の一環として、超能力者を探しているってわけだな。そして、そうした能力を持った人間を集めて、この世の悪を成敗する……」
 そう言ってから鰐十郎はプッと噴出した。
「あのね……馬鹿、言ってんじゃねえよ。どこの少年雑誌で得た知識か知らんが、小僧……そんな夢みたいな話してないで、真面目に勉強しろよ。そうでないとろくな大人にならないぞ。……なあ、おまえもそう思うだろ」
 横に顔を向けた瞬間だった。頭をウィスキーの瓶でひどく小突かれた。次いで耳たぶを引っ張られ、耳許で大声で怒鳴られる。
「馬鹿たれ、真面目に聞かんか……それに儂を幾つだと思っとるんじゃ」
「痛え……何すんだよ……この小僧」
「だから、小僧じゃない言うとろうが」
「爺さん、わけあってこんな格好になっちゃったけど、本当は八十過ぎてるんだよ」
 蓮華が横からフォローする。
「八十過ぎてるって……そんな、馬鹿な」
「まあいい。信じられんのも無理はないが、とりあえず儂の話を聞け。儂は子供らとの運命的な出会いを感じ、そのように命名した……」
「で、その一人があたしってわけ」
「おまえがその『運命の子供たち』なのか?」
「複数だよ。だから《たち》って言ってんだろ。あんたもその一人」
「そうか……成程」鰐十郎は深く頷いた。
「俺がこんなに強いのは、もしかしたら超能力のせいかもしれないと思えて来た」
「何、言ってんだよ。あんた簡単に負けてたじゃないか」
「いや、あの時はちょっと油断してたし、あんな妙な攻撃見たことなかったし」
「何度やっても同じだよ。今のあんたは唯の一般人」
「どういうことだ? 俺、超能力者じゃないのかよ……」
「チャクラがまだ開かれておらんのだ」
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