4月18日 お金の本6:偉大な計画は計画を否定する

文字数 589文字

 前線に移動しようとしたとき、戦車の八割が動かなくなった。
 なぜか。
 野鼠が住み着き、電気系統を覆う絶縁体を齧った為だ。

 1968年、自由にコンピューターが使えるあるハイスクールの生徒は、100万人に一人だった。
 ビル・ゲイツがその一人だ。
 彼と同様に優秀だった親友は、100万人に一人の確率で、山岳事故に遭い帰らぬ人となった。

 誰が野鼠を予想できただろう。
 野鼠がいなければ、ナチスドイツは勝利していたかもしれない。

 誰が山岳事故を予想できただろう。
 事故がなければ、親友はマイクロソフトの創業者に名を連ねていたかもしれない。

 蝶の羽ばたきが竜巻を起こし、アンサンブル予報の個々は乖離する。
 混沌の世界で最も怯えるべきことは、自分の手の中に未来があると、傲慢に勘違いすることだ。

 未来を確実に知る術はない。
 だからこそ、想定外が起きる前提で、計画を立てなければならない。

 予算不足、時間不足、想定外でした。
 すべて、愚者の言い訳だ。
 想定できなかったのか、そう咎める者は愚者の極みだ。

 無意味に貯めた預金通帳の数字は、どんな想定外ともそこそこ戦えると、日々に安心を与えてくれる。
 
 ラプラスの悪魔を気取るより、人の弱さを愛そう。

【参考文献】
 モーガン・ハウセル著、児島修訳『サイコロジー・オブ・マネー ――一生お金に困らない「富」のマインドセット』(ダイヤモンド社、2021)
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