4月1日 喜びの色1:ただ黄色い花を見よう

文字数 424文字

 菜の花の群生を求めて、河川敷に行くことにした。

 僕は自転車に飛び乗る。

 満開の桜が出迎える。いつもの道のいつもの春の光景が、いつもの春がまた来たと教えてくれた。白雲が快い青空に絵を描き、見る者すべてを楽しませる。吹き抜ける風音にはメジロの元気な声が混じり、カロライナジャスミンの黄色い花と清々しい香りが祝福を届けた。
 未来に不安などないと、証明するような春の陽気だ。

 川沿いの堤防を走る。

 見下ろす斜面は緑の原っぱで、川の上流が景色の果てを越えていく。原っぱには時折黄色い菜の花が顔を出し、群生ではなかったけれど、仲間少なくとも自己主張を譲らない強さを漲らせていた。新しい場所で咲く孤独の花だとしても、かくあるべしと示してくれた。

 帰り道、アスファルトの隙間で力強く咲くたんぽぽを見つける。

 幸せの黄色い花だ。

 ただそれだけのことで、僕は微笑んだ。

 明日も頑張ろう。
 新しい一歩を踏み出そう。

 適度な疲労が恐れを凌駕し、達成感が心を満たしていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み