4月12日 石ころ4:賢者は手段に拘らない

文字数 429文字

 喉の渇きを覚えた嘴細烏(ハシボソガラス)が水差しに向かった。
 ひっくり返そうとするも、力が足りない。

 水差しに小石を投げ込み、水位を上昇させる。

 喉は潤った。

 喉の渇きを覚えた嘴細烏が水差しに向かった。
 水差しに蓋がされている。

 丸テーブルをよく確認すると、足の一部が腐りかけていた。
 嘴で何度も突き刺す。
 木の枝に火を灯し、丸テーブルの足を燃やす。

 丸テーブルは倒れ、水差しは地面に落ちて割れた。

 水溜まりが出来る。
 喉は潤った。

 喉の渇きを覚えた嘴細烏が水差しに向かった。
 水差しは金庫の中に隠れ、暗証番号を入力しなければ取り出せない。

 息を殺してキャビネットの上に待機する。主人が金庫を開ける。番号を暗記する。持ち手に紐を絡ませ、遠くの扉に連動させる。金庫が開いたら、スリングショットに石を装填し、水差しに向けて射出する。主人が部屋に戻って来るまでに、破壊できるかどうかが肝だ。

 嘴細烏は実に賢かった。

「別の家に行ったほうが楽だわ」

 嘴細烏は飛び立った。
 喉は潤った。
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