4月17日 驚きの色1:展開を読ましてたまるか

文字数 592文字

 みはらしの丘のネモフィラが見頃だ。
 空色の花畑と青空が一体化し、まるで青空の中を歩くようだとか。

 行きたいなぁ。
 でも遠いし、電車賃だけでいくらかかるの?

 飛ぶか。

 わたしは翅を羽ばたかせた。

 交通渋滞! 空が満員電車並みに密集している。
 もし誰か落ちたら、みんな巻き添え……。

 空ウツボが雲から頭を突き出し、わたし達を捕食しようと大口を開けた。
 一斉に飛び散るも、どんくさい彼は間に合わず、空ウツボの歯と歯に突き刺される。

 助けなきゃ。

 わたしは三叉槍(さんさそう)を握り、空ウツボに突撃した。

 空ウツボが鬱陶しそうに頭を振る。引き起こす風に負けないだけで精一杯だ。雲の中に逃げていく、せめて一撃加えられたら。

「オレが動きを止める。あんたがとどめを差せ」

 イケメン妖精が呪文の詠唱を開始した。

「藁を()りて紐と為し、紐を()りて縄と為し、縄を()りて牢を得る。幾億の弱きをここに束ねん! 三矢金剛・鉄藁呪縛(てっこうじゅばく)!」

 無数の鉄藁(てつわら)が飛び出し、撚り集まって強靭な縛具(ばくぐ)となる。
 空ウツボの頭を縛り上げ、その動きを完全に止めた。

「やれ!」

 わたしは三叉槍にありったけの魔力を込めた。

「えいやそら」

 ぴゅーんと飛んで、ばしーんと空ウツボの目を貫き、くわっと空ウツボは驚いた。

 口から落ちた彼を、別の妖精が捕まえる。
 空ウツボは雲に帰った。

 かくしてわたしは彼と出会い、結婚し、離婚した。

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