4月26日 楽観の色1:100%の演出

文字数 465文字

 重騎兵と亀が戦うことになった。
 どちらが勝つだろう。

 徒競走ではない。馬が木陰で休むことはない。
 ミスターコンではない。審査員は亀愛好家ではない。
 かくれんぼ対決ではない。川縁に背の高い草は生えていない。

 武力で相手を屈服させる、暴力闘争だ。

 亀がコロッセオより大きいことはない。手のひらサイズだ。
 重騎兵は子どもではない。かつて女王から勲章を授かった、百戦錬磨の兵士だ。
 賄賂は払われないし、人質もとられていない。重騎兵が亀に忖度する理由は一つもない。

 舞台は地上で、水中ではない。
 周囲に狙撃手が隠れられる塔は存在しない。
 あくまで一対一、亀が数億匹集まって重騎兵を押し潰さない。
 亀は魔法が使えない。妖術も使えない。呪術の類は一切習得していない。
 天文学的確率の事象は起きない。隕石は重騎兵の胸を貫かないし、重騎兵の足元だけ噴火しない。

 単純な腕力と腕力の競い合い、ステゴロだ。

 さて、どちらが勝つだろう?
 これで迷いなく重騎兵に全額載せられるだろうか?

 試合開始直後、重騎兵が凄まじい尿意に襲われたら……それは知らない。
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