第26話 神崎の抱える物語②
文字数 1,147文字
えっと……母方のお祖母ちゃんが心配して、お父さんの居ない週末に家に泊まりに来てくれるようになった。
隣町、仲町に住んでいるから仲町のお祖母ちゃんて呼んでいて、元看護師なの。定年退職したばかり。
サバサバして元気で、カッコいいの。
私につきっきりで寝不足になりながら。
そして周りから「大変だね」と同情されていた。
私はお母さんに心配ばっかりかけて、ダメな子だって自分を責めてばかりいた。
お父さんの会社におじさん野球チームがあって、その試合を何度かお母さんと観に行ったことがあるの。
ベンチに眼鏡の真面目そうな女の人が居た。多分あの人。
実は学校帰りに何度か会ったんだ。季節のパフェご馳走してくれた。
大人しそうなのに喋ると面白い人だったな。
「逢ったことは内緒ね」って言っていたし。
……不審に思ったお祖母ちゃんが、キッチンに隠しカメラを設置したの。
画像を再生してお母さんの手元を拡大したら、私のお粥に薬を入れていて。
お祖母ちゃんが問い詰めたら、下剤、鎮痛剤、睡眠導入剤だとお母さん白状した。
もちろん医者から処方された薬以外のもの。
私の体調不良の原因は、薬の過剰摂取のせいだった。