第11話 翡翠ノ丘まつり

文字数 1,085文字

あなた達、ここに入り浸りすぎじゃない?

いくらなんでも勉強しすぎだと思うわ、まだ高一なのに!


ちょっとは夏休みらしく遊びに行ったら?

キョトンとする神崎、川本、如月。
整備機構の田端さんから、翡翠ノ丘まつりのフードチケットいただいたのよ。


まつりは今度の土日、3人で遊びに行ってみたら?

あ、そういえばスタンプラリーがあるとか……
え~面倒くさ~
…………
(ボソッ)私……行ってみたいな。
(あ、可愛い)

じゃあ、3人で行く!?

うん!楽しみ~
(小声)うん。
次の土曜日、午前9時50分。

神崎、川本、如月の3人は常世駅で待ち合わせ。

背が低くきゃしゃな神崎、背が高くスタイルのいい川本、中肉中背の如月のでこぼこトリオ。


地下鉄に乗り、「翡翠ノ丘」まで約40分。

小学校の遠足で来た以来だ。

なんかいろいろ変わっている~

転入したばかりで土地勘の無い神崎、在宅授業選択生徒の川本、チャットボット制作のため引き籠もり状態の如月という頼りない3人で、ギクシャク、キョロキョロ歩き、やっと地上に出る。


盛夏だけど、見晴らしのいい里山を渡ってくる風は、爽やかで心地よい。

翡翠ノ丘入口
ようこそ、翡翠ノ丘まつりへ。


まつりの見どころ、おすすめはこのルートじゃ。

ショッピングエリア、フードエリア、クイズ検定エリア、フェスティバルエリア、全部横断するのじゃ。

…………
ほんと、メロディが絡まないと、如月さんは無口だよね。
(深呼吸)いい景色、気持ちいい~


川本さん、如月さん、つき合ってくれてありがとう。

いや、まあ、私も気分転換になるし?(照れ)
(ニッコリ)
見て!キッチンカーがあんなに!!

お昼が楽しみだね。

お、君たち来てくれたんだ!

ありがとう!!


整備機構のスタンプラリーとクイズやっていってよ、景品いっぱいだよ~

原子力最上級者クイズ、如月さん全問正解した上に、問題文の誤り指摘して、すごかったね!
私もアレは引いたわ。

整備機構のお兄さんたち、如月さん囲んで緊急ミーティング始めちゃったし。

文房具いっぱいもらっちゃった~

フクロウのメモ帳とクリアファイルに、ウサギの付箋紙かわいい~

整備機構のノートとエコバッグも実用的でよさげだよ。

ロゴがちっちゃく「NMJ」だけだからシンプルでいいよね。

やっと整備機構の社員達から解放されて、如月が戻ってきた。


整備機構からプレゼントされたトートバッグに、実用的なノベルティグッズを携えて。

……みなさんお待たせしました。

そろそろお昼だね!

いろいろ回って汗かいたから、お昼はさっぱりしたもの食べたいかも。

(コクリ)
そうだね、ご飯買って木陰のベンチで食べようか。

フードチケット6枚あるし、デザートもいけるね!

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登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


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