第17話 ホテルランチミーティング
文字数 1,267文字
次の日、駅前の格式の高いホテル、展望の良い10階ロビーにて。
よし!全員ちゃんと集まっているな。
紹介しよう、こちらが、
篠田柊也(しのだ しゅうや)です、はじめまして。
晋(しん)と同じ真砂高校2年です。
(ニッコリ)
かわ、川本美羽です、常世東の1年です。
(めっちゃ背が高いじゃん、しかも爽やかじゃん、嘘だろ)
ちなみに身長は高い順に……
篠田>>川本>細野≧如月>>神崎
小っちゃい神崎といるときは、細野は背の低いコンプレックスを感じずに済むのである。
神崎茉白です。
7月に引っ越して来たばかりです。高1です。
俺の名前だよーちゃんと覚えてよー
細野晋、ほそのしん、覚えた?
ちょっと「晋クン」って言ってみて?
(満足気)じゃ、行くよ、窓際の席にしよう。貴重品は身につけておくんだよ。
今から2時間食べ放題だからね、時間はたっぷりあるんだからあまりがっつかないように、恥ずかしいからね。そして残すのはマナー違反だよ。
神崎さん、トレイはここ、ナイフとフォークも。
この流れにそってね。ここら辺は洋食、あっちが中華、和食エリア、デザートは奥だよ。
はい! こういうの初めてなので、細野さんについて行っていいですか?
(ドキッ)(動揺を悟られないよう気取って)
別にかまわないけど?
えっと、グリル野菜のマリネ、フレッシュトマトのパスタ、枝豆の冷製スープ、フルーツヨーグルト……
残しちゃいけないから、まずは少しずつ取り分けしてと。
私は単価の高そうなものを押さえるぜ。
ムール貝と伊勢エビのブイヤベースだろ、大トロ・ウニ・イクラの海鮮丼、北京ダック、フカヒレ、牛ステーキ……あとは見落としているものはないかな?
なんだよ、細野パイセンは中華一択かよ。
はっきりした味しかわからないなんて、舌がお子ちゃまだな!
うるさいなぁ。
中華は裏切らない、リスクが少ないんだよ。
篠田は実演しているところを回って、出来たてをいただいている。
ステーキや天ぷら、串揚げ、寿司など。
そのとき、シェフに産地などを質問攻め。次第に煙たがられているけど、お構いなしのよう。
この鮎の塩焼き、美味しいですね、黒川水系のどの辺りで採れたものなんですか?
それからこの舞茸の天ぷらですけど、舞茸ってまだ旬には早いですよね、これはどこで
もういいから、柊也、早く座って。
(小声)柊也、シェフたちにウザ絡みするなよ、出禁になるぞ。
え?なんで? (キョトン)
パンケーキの実演、美味しそうだよ、食後にみんなでどう?
如月は釜揚げうどんが気に入ったらしく、そればっかり。
白髪ねぎ、九条ねぎ、胡麻、青じそ、茗荷などの薬味と天かすを山盛に。
温泉卵や明太子で味変している。
(ウエイターを見つけて)すみません、ネギの補充をお願いします。
怖い。
如月&篠田ペアの前では、細野パイセンがまともに見えてきた。
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