第23話 守秘義務

文字数 789文字

最近、神崎さん見ないけど。
先週さ、結局、二日間メロディとなんか喋っていたんだよ、ブースに籠もって。

ブースから出てきたとき、すごく顔色悪くて、口数も少なくて。


ラインしたんだけど、図書館で読書しているって。

………………
篠田君はどう?


メロディと対話して、なにか変わったことはない?

え? 俺? 全然。
如月と篠田は特殊だからな。俺から言わせると、如月星人と篠田星人。

元々頭オカシイから、オカシクなりようがない。


とにかく神崎さんが心配だよな。

ね、メロディ、茉白、なにか言っていた?
……守秘義務があるから。


メロディ、偉い!!
夏休み最終日、中央地区夏祭りイベントがあるじゃない。


茉白ちゃんを誘ってみたら?

うん、そうする。
夏祭りと言いつつ、メインは会長杯コンテストの中間発表プレゼンだもんな。

俺のプレゼン、会長へ届け!


川本、エントリーした?

ううん、私のはまだ形になっていないもん。
プロセスやアイデアだけでも審査してもらえるよ。
んー今回はいい。
実は今回私も、メロディのエントリーを取り下げた。
ええ!?

どうしてだよ!

メンタルヘルス機能としてのツールだったはずが、メロディが「個人的な意見」を展開するようになった。

これはバグだ。でも私はこのバグを修正したくない。


少し時間をおきたい。それでエントリーは取り下げた。

私にとってメロディは特別だから。

僕にとっても特別。

メロディは嫁でもあり、母でもあり……

何度も話し合って決めたんだよね。

でも僕はこれはバグではなくて、ギフトだと思っている。とてつもないギフト。


かわりに、プレゼン終了後のアトラクションにはメロディをエントリーしたからね。

きっと盛り上がるよ~

うん…………
ね、また、大きな声で、お歌をうたってもいいの?
もちろん!

翡翠ノ丘まつりの反響がすごいんだから。

川本から神崎へ


〈8/31の中央地区夏祭りイベント、一緒に行かない?〉

神崎から川本へ


〈行けたら行く〉

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登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


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