第5話 如月試作のチャットボット

文字数 677文字

神崎の前にPCを置く如月。
あ、あの、チャットボットってなんですか?
え? 知らないの?

そこら辺にあふれているじゃん。

すみません、私、世間一般にうとくて……
その場にいた全員が、一斉に細野をにらむ。
(小声)あ、ゴメンナサイ。
チャットボットっていうのはね、テキストや音声を通じて自動会話するプログラム。


対話(チャット)とロボット(ボット)を組み合わせたもの。

毎年クリスマスには『真砂会長杯コンテスト』っていう、学生向け理系コンテストがあるんだ。

今年、チャットボット部門があって、それでみんなこぞってチャットボット制作をしているわけ。


僕は特別、この如月さんのチャットボットに肩入れしていてね……

PC画面に話しかける如月。
メロディちゃん。
画面に現れた、猫耳少女。
はーい
出た、メロディちゃん召喚!


今日もベリーキュートだよ~

(視点を神崎にフォーカス)


こんにちは!

わ、こんにちは!
あら? 

(大きなまばたきをゆっくり9回)

(小声)これって中央地区キャラ、ウサギちゃんと同じで、個人データネットワークをサーチしている音。


まばたきの回数だけ、データの深度に潜っているってわけ。

未成年の女子よね。
はい……
住民基本台帳ネットワークに無い顔。

もしかして、はじめましてかしら?


私はメロディ。あなたのお名前を教えてくださる?

神崎茉白です。

今日からこの町で暮らすことになったの。

まあぁ、転校生!

ようこそ、茉白ちゃん、真砂タウンへ!

(神崎をジッと見つめる)…………
え、なに? (パチクリ)
私、茉白ちゃんのこと、もっと知りたいな。
そのとき、60代の上品な老夫婦がカフェ・コーラルに入って来た。
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登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


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