第15話 なんで俺を誘わないんだよ

文字数 808文字

おまえたち、翡翠ノ丘まつりに行ったんだって?


なんで俺を誘わないんだよ。

なんで誘うんだよ。


それに女子3、男子1じゃバランス悪いだろ?

バランスがとれればいいのかよ。


俺が調達できる男子は、同じ異母兄弟の篠田柊也くらいだ。

あいつはいいヤツだから、俺の誘いを断らないはず。

ちょっとクセあるけど。(ブツブツ)

おいおい、似た者同士かよ。


細野パイセンみたいなのがもう1人増えたら、アタシらお手上げだよ。

おまえ、偉そうに。


でも悔しいことに、翡翠ノ丘まつりに滅茶苦茶誘って欲しかった……!

翡翠ノ丘まつりのとき話した、ブルーベリー通年生産システムに絡んでいる異母兄弟が篠田君だ。
会長の遺伝子を色濃く受け継いでいるのが、如月さんと篠田君との噂だよ。


会長の長男尚(ひさし)氏、次男の匠(たくみ)氏の子どもたちは、法務、経営、経理、投資、教育等の才能に全振り。


会長の理系の血は、三男裕(ひろし)氏の愛人の子に受け継がれたという……

「へえ、そうなんだ」と如月をまじまじと見る神崎。
あの、長男と次男の方には、愛人的な人はいるんですか?
2人とも愛妻家らしい。
如月さんのお父さんである裕氏って、地球物理学、地震学、火山学の教授でスケールがでかいんだよね。

僕も会ったことあるけど、気さくで親しみやすいキャラだった。


そして糸の切れた凧みたいにとらえどころがなくてさ、妙に母性本能をくすぐる気がしたな~。

「愛人」等のワードが飛びかい、教育上よろしくないと感じた仲川さんは、話題を変える。
お盆に瑠璃ビーチ納涼慰霊花火大会があるじゃない。


みんなで行ってきたら?

ええ~めんど
は、花火大会!?

私、行ったことない、行ってみたい!!

(たまらん可愛さだ)

うん、行こう、行こう!

……(コクリ)
俺は、高2の夏休みの思い出を作らねばならない。思い出がこれっぽっちも無いんだ。

篠田を連れてくるから、おまえたち、お供しろ。


いいか、約束だぞ! 

ちょっとぐらいの雨なら行くからな!!

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登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


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