第19話 瑠璃ノ浜納涼慰霊花火大会

文字数 937文字

お盆の花火大会当日、東地区瑠璃ノ浜入口に、それぞれ現地集合。


東地区に住んでいる神崎と川本は、一緒にLRTでやって来た。

細野パイセン、すごい荷物。なにそれ。
ブルーシートだよ~みんなで座れるようにさ~
晋は本当に気が利くよね、ありがとう。
おまえら、俺がいてよかっただろう?

(細野の発言を無視)


茉白の荷物も大きいね。

リュックのほかに、大きなエコバッグ持って。

あ、これね、お祖母ちゃんが作ってくれたホットサンドが入っているの。
ホットサンドとは?
サンドイッチをプレスして、両面こんがり焼いたもの?


ハムチーズとツナマヨ、ゆで卵、林檎ジャム入りの4種類、たくさんあるよ。

わ、すっごい楽しみ!
神崎さん、その荷物俺が持つよ。

貸して?

神崎のエコバッグを、ヒョイと受け取り肩に掛ける篠田。
すみません、ありがとうございます。
変なスイッチ入って、こだわりさえ発生しなければ、柊也はいいヤツなんだよな~


俺が女だったら、俺の次につき合いたいね。

5人は海沿いの道を歩く。

家族連れやグループ、カップルなどたくさんの人々が合流する。


午後6時25分。花火大会会場に到着。

さすがにすごい人だな。


あ、あそこで麦茶配っているぞ、もらってから行こう。

細野が仕切り、少し外れの白砂の浜辺にブルーシートを敷くと、遠くでアナウンスが流れる。


大型ディスプレイ上で、ご当地キャラクターたちがナビゲート。

乙姫です。

瑠璃ノ浜にて、納涼慰霊花火大会スタートします!


今年も盛り上がるわよ。

台風が温帯低気圧に変わってよかったぜ。


常世町のお盆は「景気よく行こう!」が合言葉だからな。

瑠璃ノ浜沖合の2隻の船から、次々と花火が打ち上がる。
ツナと玉ねぎ、美味しい!

これ売れるよ~

うん、ハムチーズも美味いよ。

このチェダーチーズは、真砂大学農学部チーズ工房じゃないかな。

……(モグモグ)
おまえら、ホットサンドに夢中になりすぎ。

少しは花火も見ろよ。

俺達が花火を見ると、炎色反応の話でうるさくなるよ。
赤はリチウム、ストロンチウム、黄色がナトリウム、青は銅、緑はバリウム、紫はカリウム、橙がカルシウム。
たしかにウルセー。おまえらは黙って食ってろ。


神崎さん、一緒に見よう。

きれいだね~。

うん、とっても綺麗、別の世界を見ているみたい。


天国ってこんな感じなのかなぁ。

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登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


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