第35話 オタクだらけの新田家

文字数 1,019文字

 町外れのとある一軒家。夕飯の席。


継母、義姉と食卓を囲む玲良。父は単身赴任中。


2人とも、宮プロダクションは知っているわね。
アイドルやタレント、俳優、ミュージシャンを抱えた大手事務所でしょ。
神映画『量産型セクサロイド・ラズベリー』に、宮プロの俳優さんたくさん出ていますよ!
実写版、微妙だったらしいじゃん。

なんでも実写化するのやめたらいいのに。

そんなことはありません、新解釈です。お義姉さんのイジワル!


通称『ラズロイド』は小説、漫画、ドラマ、映画のどれも問題作で、雨後の竹の子のように考察が乱立するんですから~。

玲良、そんなものに夢中になって、オタクね。
その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。


お継母さんだって、戦隊出身の月野雅(つきの みやび)沼にドハマりしてズブズブじゃないですか!

月野クンはね、汚れた地上を浄化するために降り立った天使なの。

異論は認めない。

さて、ここからが本題。


今週の土曜日に、「宮さま専属メイド・オーディション」がある。

あなたたち、それに参加してメイドの座をゲットしなさい。

誰だよ、宮さまって。
まったくあなたは、変な漫画ばっかり書いていて一般常識が無いんだから。


宮プロの優秀な後継者である、宮御門(みや みかど)さま、通称「宮さま」よ。

変な漫画は余計なんだよ。

こっちはコミケの準備で忙しいんだ、オーディションなんて冗談じゃない。

だいたいメイドなんて私にできるわけねえだろ。

知ってた。


じゃあ、玲良、あなたに私の野望を託すわ。

必ずやメイドの座を勝ち取ってちょうだい、私に策がある。

ちょっと!

玲良は私の原稿を手伝ってもらうつもりだったのに~!

もう……みんな、人使い荒いんだから。
いいこと?

玲良はメイドになって、宮プロの事務所、上層部に出入りできるようになったら、月野クンの情報を集めて私に流すのよ、わかった?

なんだよ、自分の推し目当てじゃねーか!

あんなチビのどこがいいんだよ。

月野クンへの冒涜だけは許さない。

アンタが書いてるエロ漫画書影量産して中身スカスカ、ページタップしたユーザー100%後悔させて満足か?アンタの漫画開けたら負けと思ってる

ババア黙れ!モラルがパラレルワールドはアタシだけじゃねえ、複垢操作何作もシコってPVに対して★異常値ユーザーが他にも
ストップ~!

もう~毎日毎日、ケンカばっかり~やめてください~

玲良は、継母と義姉から推しジャンルをディスられるという仕打ちを受けつつ、ケンカの仲裁をする毎日であった。
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登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


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