第12話 ブルーベリーヨーグルトジェラート

文字数 1,222文字

お待ちかねのランチ。

神崎はトマトとバジルの冷製カッペリーニ、川本は冷やし中華、如月は冷やしタヌキうどんを選んだ。


食後はみんなで、さっぱりとした甘みのブルーベリーヨーグルトジェラート。

アイス美味しいね~

ブルーベリーがこんなに入って~

(ジェラートをジッと見つめて)


細野君じゃない異母兄弟が、ブルーベリーの通年生産システムを勉強している。

真砂グループが近年力を入れているのは、スマート農業の実装で。

あ、そういえば神崎さんに言っていなかったかな?


如月さんも細野パイセンと同じ、真砂会長の孫なんだよ。

会長の三男、真砂裕の非嫡出子でしたが、中1のとき実母が殉職し、真砂裕夫妻と養子縁組しました。


いろいろ面倒なので旧姓を使用しています。

註:非嫡出子(ひちゃくしゅつし)とは……法律上の婚姻関係のない男女の間に生まれた子を指します。
細野パイセンは同じ異母兄弟の如月さんを、めちゃくちゃライバルとして意識しているけど、如月さんは相手にしていないというか、完全スルー。(笑)
ひちゃくちゅ?ってなあに?


それから、お母さん殉職ってことは、亡くなったの?

川本さん、喋るときは早口だからな~

もっとわかりやすく話してあげてよ。

わかりやすく言えば、私は愛人の子です。

母は医者で、新型ウイルス治療の最前線に立ち、感染して殉職しました。


真砂裕夫妻には子どもがいなかったため、引き取られた形です。


父の愛人は何人いるのか特定できませんが、私が把握している認知子は現時点で4人です。

じゃあ、いわゆる「継母(ままはは)」に引き取られて一緒に生活しているの?


ドラマの見過ぎかもしれないけど、如月さん、いじめられたりしていない?大丈夫?

少し前、神崎と如月が見ていた漫画原作のドラマ


『シンデレラの匙加減~継母から家事スキルを叩き込まれた元お嬢さまメイドは、冷徹御曹司から溺愛されちゃいます~』

いじめ?そういうドラマありましたね。

私も寮の食堂で見ていました。


いじめは無いのですが……互いの生活習慣、価値観の相違により、私はカフェ・コーラルへ避難しているという面はあります。

あ……やっぱりいろいろあるのね。

如月さん、私でよかったら話聞くけど……

神崎さんはメロディみたいだ。


継母の話はまた後日。

如月さんの継母のバイブスは独特なんだよな!


一度ここに立ち寄った継母見たことあるけど、ククッ(思い出し笑い)

なんかドラマみたいなことってあるのね、信じられない、すごい世界。


わたし、この町に来てから「すごい」ばっかり言っている。

私もそう思う。信じられない世界。


父や母に関しては一生、理解できないと思う。

私は一生結婚しないって決めている。そういうの興味無いし面倒くさい。


リソースは全部研究に注ぎたい。

そうだね、私もそうしようかなぁ……
じゃあ、みんなでそうする?
(少し笑ったあと)

実は私、男が苦手なんだ。


あ、細野パイセンやアッサムさんや田端さんとか、面識ある人は平気だよ。

遠くを見つめる川本。


ポツリポツリ話し出す。

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登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


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