第31話 継母とご対面

文字数 738文字

波瑠が父との同居をためらうのには、理由があった。
(父の正妻の千尋さんという方は、私の存在をこころよく思っていないはず)
その頃、学生に混じって食堂でご飯を食べるとき、流れていたテレビドラマがあった。
『シンデレラの匙加減~継母から家事スキルを叩き込まれた元お嬢さまメイドは、冷徹御曹司から求愛されちゃいます~』
(ドラマによると継母というキャラは、デフォで継子イジメをするらしい)
波瑠さん、お父さまからの申し出です。


同居を受入れるのであれば、波瑠さんの希望をなるべく叶えるとのことです。

え?願いを叶える?本当ですか?


ならば同意します。

こうして真砂裕夫妻と波瑠の、養子縁組と同居が決まったのである。
今日は、波瑠と継母(真砂千尋)との初対面の日。
…………
(眉をしかめて、ため息)
(お、さっそくイジメモードに入ったか?)
なに、そのカッコ。
は?私の正装だが?
もう、なんで学校のジャージなんて着ているのよ~


ダサいカッコしてくるとは思っていたけど、想定外だわ!

はぁ?ジャージに謝れ。

ジャージの機能性は優れものなんだぞ。アンタのそのピラピラよりずっと。


ジャージをバカにされるのだけはスルーできないな。

ちょ、「アンタ」って!

とっても大人しい子だって聞いていたから、すっごく心配していたけど、全然違うじゃない~

(ニコニコ)お、一気に賑やかになったなぁ。


波瑠の部屋を案内しようか。

あれですか?


(庭の隅、日陰にある古い倉庫を指さす)

そんなわけないでしょ!!


2階の私の衣装部屋を空けたんだから。とっても眺めがいいのよ。

波瑠さん用にカワイイ部屋を作るの、大変だったんだからね!

ハハッ、あれは俺の物置、資料や装備やらが入っている。
そうでしたか。


(なかなかイジメに入らないな)

(もしかしてツン強めのデレなのか?)

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色