第9話 全国原子力保全整備機構
文字数 1,518文字
真砂会長ってすごいのね。
よくわかった、ありがとう。
次に進むと核ゴミの格納の仕方でね、
放射性物質はガラスと一体化した状態にしてから、分厚い金属製の容器に入れて、その周りを粘土でできた緩衝材でガッツリ包んで、それを
頭がパンクしそうだから、今日はこのぐらいにしておく。
とにかく、常世町にお金がたくさんあるってことはわかったわ。
それで私が美味しいジュースをタダで飲めるのね。
それに真砂グループって、先端半導体事業で圧倒的な技術があるんだ。
今、世界的な半導体不足でしょ?
真砂グループ半導体部門の設備資金の大半は、国からの補助金だよ。
国策を促進するために必要なものだから、もちろん返済不要。
そう、会長の「先見の明」は神がかっている。
……会長って忙しい人だから、実は俺、直接会った記憶ないんだ。
真砂会長杯もリモート開催だから会えないけど、俺の名前を覚えて欲しいな~
どうだか! 俺は末端だしさ。
如月はあの通り変わっているから、会長から認知されているかもしれないけど。
細野パイセン、もっと自作のチャットボットを披露したかったみたいね。
でも町民なら知っているようなことを言われてもね~
なんせ、ここの2階が全国原子力保全整備機構常世支部だし、そこで質問できるしね。
整備機構の人たち、問い合わせ受けたら、いつでもどこでも飛んでいって映像や実験キット使って熱心に説明してくれるもん。
そうそう、整備機構のみなさん、気さくで町の活動にも積極的に参加してくれるしね。
ここだけの話、細野くんのチャットボット、お金の話になると声が高くなるから可笑しくなっちゃった。
(小声)放射性廃棄物の処分地の選定や調査、最終処分の実施、処分後の管理なんかを行う、経済産業省所轄の法人みたい。
Nuclear Management of Japan、略してNMJ。
ここの飲み物なんでも美味しいよね~
今日はアイスカフェオレにしようっと。
俺、常世町に赴任したばかりだけど、ここって本当に住みやすいよね~
みんな目を合わせてくれるしさ~
(遠い目)俺らを見ると「町から出て行け」だし、目も合わせてくれないし、対話集会設けても、反対意見で遮られて議論が進まなかったりね……
町議会議員、産業団体、弁護士、町内会のみなさま方と、俺ら整備機構と経産省、ファシリテーター6名ほどで集会を開くんだけど、相手方の感情論で始まり感情論で終わるわけよ。
もはや世界ではいろんな動きが生まれているのにね。
最近EUは、原発を「グリーンな投資先」に認定する方針を打ち出しちゃったし。
ロシアがウクライナ侵攻をほのめかし、見せしめとして他国への天然ガス供給を減らしたせいで、電力供給がピンチになったからねー。
原発に頼らざるおえない状況に、EUも見事な掌返し。
それはそうと、さっき細野君が言っていた多重バリア構築システムに引き続き、処分格納施設『コクーン・プロジェクト』も、真砂グループ事業計画としてそろそろプレスリリースあるかも。
デブリ関連のロボットアーム開発も順調だし。
ここはアッサムちゃんみたいな人ばかりで助かるよ~
対話集会も具体的な施策の摺り合わせで、スイスイ進むしね~
処分場に名乗りを上げてくれたことで、常世町に対し、国は恩義を感じているよ。
来週の翡翠ノ丘まつりに遊びに来てよ~
整備機構でスタンプラリーやるからさ~豪華賞品たくさんあるよ~
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