第3話 ガールミーツガール

文字数 690文字

成績も暗礁に乗り上げたままだし~どうしたらいいの~
カウンターにいた、もう1人の男性スタッフがつぶやく。
川本さんの研究って、駅の防犯システムだっけ?


防犯・防災なら駅も町も監視モニターが無数にあるじゃない。僕お手製のモニターも設置済みだし。

それに今年度、駅やインターにデジタル関所が実装されたじゃん。

それ以上、なにをするつもり?

アッサムさん、私のは絶対に死角を作らないモニターだもん。

痴漢行為を逃さず記録するの。もちろん、えん罪防止にもなるんだから。


それに心拍数、体温、動悸、眼球の動きなどで、不審者を徹底マークして取り押さえ、痴漢を未然に防ぐの。

どうだろう、なんか名誉毀損で訴えられそう。

ちょっと難しくない?

わかっていますよ。でもこれが、私が青春かけているテーマだから。
……(話している少女を、まばたきしながら見る)
(あ、かわいい子!)

中学生ですか?

高校1年です。
あ、同級生だ。145㎝とか?
(ムッ)145.5㎝です。
私はスタッフの仲川といいます。仲川史織。(名札を指さす)


このオタクはアッサムさん。

ボーイじゃなくて、一応真砂グループの上席研究員なの。

「一応」は余計だよ~

インドから留学に来て、そのまま気に入って居ついちゃった。

えっと、私は、神崎茉白といいます。
(かんざき ましろちゃん、か)


私は、川本美羽です。

(かわもと みうちゃん……)
とにかく、ここはとーってもいい環境よ。

絶対に気に入ると思うわ。

なんといっても、有能な真砂孝(まさご たかし)会長さまがいらっしゃるから。
(小声)あ、噂をすれば、会長のお孫さまがやって来た。
そのとき、不機嫌そうな男子がカウンターに近づいてきた。
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登場人物紹介

神崎 茉白(かんざき ましろ)


高校1年生。常世町東地区に住む祖父母と同居するため、夏休みに常世町に転入。


川本 美羽(かわもと みう)


常世東高校1年生。東地区に住んでいる。

如月 波瑠(きさらぎ はる)


真砂高校1年生。真砂グループ会長、真砂孝氏の三男、真砂裕氏の愛人の子。

母は医者。新型ウイルス治療中に感染により命を落とす。

その後、子どものいない真砂裕夫妻に引き取られ養子縁組した。便宜上、旧姓を使用している。

細野 晋(ほその しん)


真砂高校2年生。如月同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は裕氏の元秘書。中央地区に住んでいる。

篠田 柊也(しのだ しゅうや)


真砂高校2年生。如月、細野同様、真砂会長三男、裕氏の愛人の子。

母は真砂裕氏の元ハウスキーパー。中央地区に住んでいる。

仲川 史織(なかがわ しおり)


常世町役場併設のコワーキングスペース、「カフェ・コーラル(珊瑚)」勤務。

アッサム


インドから真砂大学に留学していた。そのまま真砂グループに就職。上席研究員。

神崎 苑子(かんざき そのこ)


茉白の祖母。元病院勤務(栄養士)

神崎 直哉(かんざき なおや)


茉白の祖父。元常世町役場勤務。

田端 薫(たばた かおる)


常世町役場2階、全国原子力保全整備機構(NMJ)勤務。3年前常世支部に赴任した。

ナラティブ・リーディング・メロディ


如月波瑠制作のチャットボット


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