第26話 撲滅へ計画変更

文字数 777文字

 連絡はすぐに来た。

 ケインの情報では足立進の元に入ってくるフェンタニルという薬物はメキシコから来た不法移民グループの仕業だとわかった。
 粗悪なフェンタニルの原料を中国から密輸し彼らが加工していた。それを各国に売りさばいていたのだ。
 すでにケインのSIDチームがそのグループを叩き潰したらしい。誇らしげなシャロンらと共に確保された犯罪グループの写真が鶴の元に送られてきた。ただケインが言うには悪人を捕まえても次から次へと売人が湧いて出て来るらしい。鼬ごっこで困り果てているらしい。   
 そして、フェンタニルの供給元を断たれた足立がコンビニエンスストアに現れなくなった頃に店長が変死体で見つかった。
 いずれは航が店長も殺ることになったであろうが、警察に調べられる前に先手を打たれてしまった。
 
 足立の警戒心がより行動範囲を狭くしていた。
 機会を狙っていた航は足立が入り浸っている本田組の事務所を襲う計画に変更せざる負えなかった。
 仕事は難しくなるばかりで計画を練り直すこととなった。

「どうする?ひとりでは出来なくなったな」
 鶴が航に問いかけた。
「店長が殺されたのは組の仕業か?」
「情報はないがおそらくそうだろうよ」
 少し考えて航が話し出した。
「確か組事務所の前のアパートに空き部屋があったな。まだ借りているのか?」
「あるよ。今も監視しているからな」
「誰が張り込んでる?」
「古橋だよ」
「ああ、あのナイフの達人か」
「古橋を使ってもいいよ」
「いや、それはいい。俺はその空き部屋から組事務所正面に奴が出てきたところをライフルで狙う」
 航はルガーM77ホークアイを取りに奥の武器庫に歩いて行った。
「そうか。逃走ルートは古橋に聞いてくれ。慎重にな」
「ああ、任せとけ」
 ライフルを手に取り入念に微調整した。

 そして、航はロングコートにライフルを隠し古橋の元に向かった。




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登場人物紹介

西山涼一。高校生。

父。西山航。サラリーマン。元殺し屋で狙撃手。

田中龍。父の友人。殺し屋。

下沢鶴男。合鍵屋<鶴>のオーナー。殺しの依頼も舞い込む店。


西山桃子。母。

田崎浩一。父の幼馴染の警察官。

足立進。南を牛耳るヤクザの下っ端のチンピラ。

美咲。涼一の同級生。

山本組の組長。山本。

山本組の坂口。

直斗。龍の息子。

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