第４話　秘密

　こ、これはなんだ......

　僕はモニターに映し出された文字を呆然と見つめた。

　覚せい剤密輸組織中心人物　安藤誠一　５６歳　×
　殺された娘の報復のため　河内守也　３５歳　×
　SID依頼　殺人逃亡犯　ジャック.D　４８歳　×　
　SID依頼　少女レイプ強盗重犯　デービス.G　６２歳　×　
　・・・・・・
　渡辺組・・・春奈　中止
　引退
　単仕事・・・足立進　△ 次回持ち越しとする

　胸騒ぎがする
　一見見ただけではただのメモの様だが何か引っかかった。悪人らしき名前ばかりが並んでいるのは妙だ。
　×って何なんだ。失敗したのか？もしかして死んだって事か......
　いや、これは殺したっていう意味にも取れる。
　ってことは親父が殺したのか？
　マウスを持つ手が震え出した。
　まさか.......
　見てはいけないものを見てしまったかもしれない。親父は何を隠しているんだ。覗き見してしまった罪悪感と真実を知りたい気持ちと恐れとで僕は確実に動揺している。
　
　取敢えず持っていたUSBにコピーした。
　
　あんな温厚で真面目で子煩悩な冴えない親父が殺し屋とは思えない。ただのサラリーマンだ。おそらくこれは何かの資料で小説を書いているとか、犯人を捜すゲームか何かのヒントだろうと自分自身に言い聞かせる。
　そうそう親父の友人の警察官の浩一さんに頼まれて調べているだけなんだ。そうだ。それしか考えられない。
　無意識に深く考えない様に思考が停止した。それでいい。

　このことは忘れるんだ。

　＜ガチャ＞
　突然、扉が開いた。