第1話 失踪
文字数 776文字
「涼一 !航 がどこに行ったか知らねえか?」
僕は授業が終わり帰宅しようと校門を出たところで龍兄 に捕まった。みんなが見ている前でチンピラ風の龍兄と話していたら嫌でも注目の的だ。僕は龍兄を慕ってはいるが、きっと高校生の僕が怪しい大人に絡まれている様に見えている事だろう。まあ、気にもしないが。
龍兄の本名は田中龍。僕はいつも龍兄と呼んでいる。親父の同級生で親父の親友、離婚し、元妻が引き取った直斗くんと言う息子がいる。そして、いつもふらふらと町をふらついている。僕が知る限りおそらく仕事はしていない。ミステリアスでユーモアがあり柄は悪いがカッコよく俗にいういい人だ。
そんな龍兄に少し僕は憧れている。
「知らないよ。親父は長期の出張って言ってたけど。携帯はつながらない?」
「ああ。それがつながらないんだよな」
龍兄は何か心配している様だ。親父の事だから行方不明になったりすることが度々ある。
「いつもの事だと思うよ。おそらく親父は心配ないよ」
「ああ。そうだろうけど、ちょっと用事があってな。連絡来たらすぐに俺に電話するように言ってくれ。必ずな」
龍兄にしては慌てた口調だ。
「わかったよ」
僕は軽く即答した。
その時、龍兄の後ろで幼馴染の美咲 が見えた。長い黒い髪、眼鏡をかけた優等生の美咲。セーラー服が良く似合うかわいい女の子だ。
声をかけようと一歩近づいたけど知らんぷり。
……冷たい。
その気が強いところも好きなんだ。
友達以上を求めている僕のこの思いが何処かへ飛んで行きそうだ。
次の日になっても親父とは連絡は取れなかった。
僕はいつものように親父はまたひょっこり帰ってくるものだと、まだ気にもしていなかったが、あの時の龍兄の慌て方をみると何かあったに違いないと気づくべきだったのかもしれない。
いや、何も知らないあの頃が幸せだったのかも.......
僕は授業が終わり帰宅しようと校門を出たところで
龍兄の本名は田中龍。僕はいつも龍兄と呼んでいる。親父の同級生で親父の親友、離婚し、元妻が引き取った直斗くんと言う息子がいる。そして、いつもふらふらと町をふらついている。僕が知る限りおそらく仕事はしていない。ミステリアスでユーモアがあり柄は悪いがカッコよく俗にいういい人だ。
そんな龍兄に少し僕は憧れている。
「知らないよ。親父は長期の出張って言ってたけど。携帯はつながらない?」
「ああ。それがつながらないんだよな」
龍兄は何か心配している様だ。親父の事だから行方不明になったりすることが度々ある。
「いつもの事だと思うよ。おそらく親父は心配ないよ」
「ああ。そうだろうけど、ちょっと用事があってな。連絡来たらすぐに俺に電話するように言ってくれ。必ずな」
龍兄にしては慌てた口調だ。
「わかったよ」
僕は軽く即答した。
その時、龍兄の後ろで幼馴染の
声をかけようと一歩近づいたけど知らんぷり。
……冷たい。
その気が強いところも好きなんだ。
友達以上を求めている僕のこの思いが何処かへ飛んで行きそうだ。
次の日になっても親父とは連絡は取れなかった。
僕はいつものように親父はまたひょっこり帰ってくるものだと、まだ気にもしていなかったが、あの時の龍兄の慌て方をみると何かあったに違いないと気づくべきだったのかもしれない。
いや、何も知らないあの頃が幸せだったのかも.......