第6話 母がきた
文字数 823文字
<ガチャ>
部屋の扉が開く音と同時に反射的に危険を察してパソコンを閉じUSBを抜いた。
「何してるの?涼一」
僕は驚き振り向いた。
突然、母さんが部屋へ入って来たのだ。
「親父がいるかなって思って」
「いるわけないでしょ。出張中なんだから」
勘が鋭い母さんに僕が親父のパソコンを盗み見していたことがバレたかもしれない。
どうする?
「親父ってサラリーマンだよね?」
僕は母さんに話を切り出してみた。
「どうしたの急に。変な子ねぇ。頭でも打った?」
「いや、最近はあまり家にいないからさ」
「本当に変な子ね」
「浮気か......」
僕は母さんをからかってみせた。
「それはないわ、絶対に。父さんは私にゾッコンよ」
「ハイハイ。ゾッコンって昭和かよ」
僕は笑って見せたが何故かその時、母さんは親父がスナイパーだと知っている気がした。
それが何故かはわからないが。
僕は親父がスナイパーだと確信した瞬間かもしれない。
そういえば以前に二人の思い出話を聞いたことがある。
結婚前に母さんが暴力団に絡まれて二人で車で山奥まで逃げて親父が母さんを助け出したとか何とかと言う話。
その話を聞いた時は親父がそんなことはできないだろうと思っていたが、あながち本当かもしれない。
見かけはあの冴えない親父だが。
「親父って昔からサラリーマンなの?」
「そうよ。当時から良く平凡に暮らしたいって言ってたわ。あなたも父さんそっくりになってきたんじゃない?」
「そう?平凡な暮らしねぇ」
その考えは親父らしい。平凡に生きる事がどれだけ難しいことかくらい理解しているつもりだ。
「母さんは何が平凡かわからないけどね。今の暮らしに満足しているわ。何でそんな事を聞くの?」
「いや、何でもないんだけど。冴えない親父の事を母さんは何故好きになったのか不思議だなと思って」
「冴えない?冴えないかぁ。涼一には父さんがそう映っているのねぇ。そうか......」
残念そうな顔をした悲しげな母さんがそこにいた。
部屋の扉が開く音と同時に反射的に危険を察してパソコンを閉じUSBを抜いた。
「何してるの?涼一」
僕は驚き振り向いた。
突然、母さんが部屋へ入って来たのだ。
「親父がいるかなって思って」
「いるわけないでしょ。出張中なんだから」
勘が鋭い母さんに僕が親父のパソコンを盗み見していたことがバレたかもしれない。
どうする?
「親父ってサラリーマンだよね?」
僕は母さんに話を切り出してみた。
「どうしたの急に。変な子ねぇ。頭でも打った?」
「いや、最近はあまり家にいないからさ」
「本当に変な子ね」
「浮気か......」
僕は母さんをからかってみせた。
「それはないわ、絶対に。父さんは私にゾッコンよ」
「ハイハイ。ゾッコンって昭和かよ」
僕は笑って見せたが何故かその時、母さんは親父がスナイパーだと知っている気がした。
それが何故かはわからないが。
僕は親父がスナイパーだと確信した瞬間かもしれない。
そういえば以前に二人の思い出話を聞いたことがある。
結婚前に母さんが暴力団に絡まれて二人で車で山奥まで逃げて親父が母さんを助け出したとか何とかと言う話。
その話を聞いた時は親父がそんなことはできないだろうと思っていたが、あながち本当かもしれない。
見かけはあの冴えない親父だが。
「親父って昔からサラリーマンなの?」
「そうよ。当時から良く平凡に暮らしたいって言ってたわ。あなたも父さんそっくりになってきたんじゃない?」
「そう?平凡な暮らしねぇ」
その考えは親父らしい。平凡に生きる事がどれだけ難しいことかくらい理解しているつもりだ。
「母さんは何が平凡かわからないけどね。今の暮らしに満足しているわ。何でそんな事を聞くの?」
「いや、何でもないんだけど。冴えない親父の事を母さんは何故好きになったのか不思議だなと思って」
「冴えない?冴えないかぁ。涼一には父さんがそう映っているのねぇ。そうか......」
残念そうな顔をした悲しげな母さんがそこにいた。