第11話 龍兄に会いに行く
文字数 807文字
僕はこのまま崖から落ちていく小石のように闇の中へと転がっていくのか。
椅子に背中を押し付け天井から吊り下げられたシーリングファンの羽が一定に回る動きをぼんやりと見つめていた。
真実を知るべきか。このまま何も知らないまま生きていくべきか。
答えはすでに出ている。
おもむろに自分のノートパソコンを開きUSBを差し込み画面を眺めた。
<渡辺組 春奈 中止......>
これが気になるんだよな。春奈か。
ネット検索では渡辺組の春奈という人はヒットしない。渡辺組の平野誠は山本組との抗争で殺されたらしいことは当時の情報としてアップされていた。
ジャックとデービスはN.L州のSIDが追っていた容疑者だとわかったが親父と結びつける手がかりは何もない。
突破口が見つからないまま時間だけが過ぎていった。
一度、龍兄にそれとなく聞いてみてもいいなと思い、僕は家を出た。
『龍兄?今どこにいる?』
僕は龍兄に電話を掛けた。
『涼一か?どうした?俺は立ち飲み<楠>にいるよ。直斗はいないけど』
『直斗君がいないのは残念。会いたかったのに。でも今から行くよ。聞きたいことがあるんだ』
『そうか。飲んでいるから待ってるよ』
楠は駅前なのでそれほど遠くない。自転車で行けるので好都合だ。
<ガシャーン!>
甲高い驚くような音がした。
立ち飲み屋<楠>に着き自転車を止めた時に入口の引き戸にぶつかりながら人が出てきたのだ。
マスクをしパーカーを被った男が慌てて走って逃げた。
そのあとを追いかけるように大きな音と共に人が倒れて出てきた。
龍兄だ!
腹から流れ出る血を手で押さえながら苦しんでいる。
「ど、どうしたんだよ!」
僕は叫んだ。
「やられた......」
「誰か!誰か救急車を呼んでくれ!」
何度も僕は叫んでいた。
龍兄を助けてくれと祈りながら何とかして流れ出る血を止めようとしたがドクドクと瞬く間にあふれ出てきた。
椅子に背中を押し付け天井から吊り下げられたシーリングファンの羽が一定に回る動きをぼんやりと見つめていた。
真実を知るべきか。このまま何も知らないまま生きていくべきか。
答えはすでに出ている。
おもむろに自分のノートパソコンを開きUSBを差し込み画面を眺めた。
<渡辺組 春奈 中止......>
これが気になるんだよな。春奈か。
ネット検索では渡辺組の春奈という人はヒットしない。渡辺組の平野誠は山本組との抗争で殺されたらしいことは当時の情報としてアップされていた。
ジャックとデービスはN.L州のSIDが追っていた容疑者だとわかったが親父と結びつける手がかりは何もない。
突破口が見つからないまま時間だけが過ぎていった。
一度、龍兄にそれとなく聞いてみてもいいなと思い、僕は家を出た。
『龍兄?今どこにいる?』
僕は龍兄に電話を掛けた。
『涼一か?どうした?俺は立ち飲み<楠>にいるよ。直斗はいないけど』
『直斗君がいないのは残念。会いたかったのに。でも今から行くよ。聞きたいことがあるんだ』
『そうか。飲んでいるから待ってるよ』
楠は駅前なのでそれほど遠くない。自転車で行けるので好都合だ。
<ガシャーン!>
甲高い驚くような音がした。
立ち飲み屋<楠>に着き自転車を止めた時に入口の引き戸にぶつかりながら人が出てきたのだ。
マスクをしパーカーを被った男が慌てて走って逃げた。
そのあとを追いかけるように大きな音と共に人が倒れて出てきた。
龍兄だ!
腹から流れ出る血を手で押さえながら苦しんでいる。
「ど、どうしたんだよ!」
僕は叫んだ。
「やられた......」
「誰か!誰か救急車を呼んでくれ!」
何度も僕は叫んでいた。
龍兄を助けてくれと祈りながら何とかして流れ出る血を止めようとしたがドクドクと瞬く間にあふれ出てきた。