第18話 ダイブ
文字数 869文字
僕は親父を見つめた。
張り詰めた緊張感が冷えた空気となって部屋を舞い始めた。
この部屋は無音だと思っていたがコンピューターの音が静かに重なり合っていた。
そして話を切り出す。
「今はすべてを受け入れることが出来ないけど、親父は僕の親父だから」
「すまない。涼一、お前は大丈夫か?」
「うん。何も変わらないって事。親父は好きにすればいい」
僕はそう言ってはみたが理由が何であれ人殺しには変わりない。悪人が更生しようとするチャンスまでも奪うことが正しいのか親父に聞いてみた。
答えはやはり親父も鶴さんと同じだった。
根っから腐った悪人はどこまでも悪人で更生しないらしい。幼いころから育った環境の影響でそもそも善悪の境目がわからないらしい。奴らはいつも自分以外の命は害虫以下だと吐き捨てていると話した。
僕は例外もあるはずだと反論した。
犯罪を犯す連中にはそれなりの理由があると思っていると。例えば、出来もしないのに結婚を前提に大金を貢がされる結婚詐欺にあった女の逆恨みの犯行とか、愛する我が子を痛めつけられた為の復讐とか、幼き頃から親の虐待に遭って居場所がなく犯罪を犯して生きていくしかなかったとか、犯罪は金と愛が絡む事件が大半で法の裁きで罪を償えば、そして自分の居場所を見つければいつか真っ当に生きていくことが出来るのではないかと話した。
それは人生経験が乏しい未熟な高校生の僕の考えなのか。
「涼一のいう通りだな。しかし、本当に大丈夫か?涼一?」
鶴さんが聞いてきた。
「僕は大丈夫。いつも通り何も変わらず明日も過ごすよ」
「本当か?」
親父はいつもの優しい目で見つめてきた。
「本当だよ」
その時、着信音が鳴り鶴さんがポケットから取り出した携帯電話のメールを見た。
「おっと、航。山本さんからの依頼メールだ。あらら、ターゲットは足立進だとよ。決定的だな」
人生の最大の岐路に立たされた気分だった。僕は親父と母さんとこのまま絶壁の崖から一緒に飛び降りようとしている。
「親父、パソコンのパスワードは変えた方がいいよ」
「そうだな」
親父は苦笑いをした。
張り詰めた緊張感が冷えた空気となって部屋を舞い始めた。
この部屋は無音だと思っていたがコンピューターの音が静かに重なり合っていた。
そして話を切り出す。
「今はすべてを受け入れることが出来ないけど、親父は僕の親父だから」
「すまない。涼一、お前は大丈夫か?」
「うん。何も変わらないって事。親父は好きにすればいい」
僕はそう言ってはみたが理由が何であれ人殺しには変わりない。悪人が更生しようとするチャンスまでも奪うことが正しいのか親父に聞いてみた。
答えはやはり親父も鶴さんと同じだった。
根っから腐った悪人はどこまでも悪人で更生しないらしい。幼いころから育った環境の影響でそもそも善悪の境目がわからないらしい。奴らはいつも自分以外の命は害虫以下だと吐き捨てていると話した。
僕は例外もあるはずだと反論した。
犯罪を犯す連中にはそれなりの理由があると思っていると。例えば、出来もしないのに結婚を前提に大金を貢がされる結婚詐欺にあった女の逆恨みの犯行とか、愛する我が子を痛めつけられた為の復讐とか、幼き頃から親の虐待に遭って居場所がなく犯罪を犯して生きていくしかなかったとか、犯罪は金と愛が絡む事件が大半で法の裁きで罪を償えば、そして自分の居場所を見つければいつか真っ当に生きていくことが出来るのではないかと話した。
それは人生経験が乏しい未熟な高校生の僕の考えなのか。
「涼一のいう通りだな。しかし、本当に大丈夫か?涼一?」
鶴さんが聞いてきた。
「僕は大丈夫。いつも通り何も変わらず明日も過ごすよ」
「本当か?」
親父はいつもの優しい目で見つめてきた。
「本当だよ」
その時、着信音が鳴り鶴さんがポケットから取り出した携帯電話のメールを見た。
「おっと、航。山本さんからの依頼メールだ。あらら、ターゲットは足立進だとよ。決定的だな」
人生の最大の岐路に立たされた気分だった。僕は親父と母さんとこのまま絶壁の崖から一緒に飛び降りようとしている。
「親父、パソコンのパスワードは変えた方がいいよ」
「そうだな」
親父は苦笑いをした。