第17話 航の償い
文字数 975文字
合鍵屋<鶴>の作戦指令室とも言うべきところはいつも冷たい空気が流れている様だ。冷酷な判断を下し悪を闇の中に葬る。
「鶴さん。この場所を見せて、息子にすべて話したのか?」
航は愛用のグロック19を手に取り銃口を確認しながら話かけた。
「ああ。ここまできたら隠しきれないからな。彼は知っておく必要がある。龍の事もあるし。なんと言っても龍を慕っていた」
「そうか......」
「知っておく必要があるだろ。涼一なら大丈夫だ。彼は強い」
「いや、鶴さん、親からしたらまだまだガキだ。それに息子に迷惑をかけたくはない。自分なりに罪を償いたい」
「罪を償う?死んで当然の奴らのためにか?そんな必要はない。俺たちは世の中を良くしているんだ」
鶴には迷いがない。奴らをやらなければ自分がやられる世界で鶴もまた今まで生きてきた。
「それは理解できるんだが......」
航は銃を分解し始めた。
確かにフェンタニルはどこかから運ばれコンビニオーナーへ、そして城田会傘下の本田組のチンピラ、足立進へ薬が流れている。夜の南の街は安価な薬で暗黒へと化しつつあることを航も気にかけていた。
矢沢議員が金のためにコンビニオーナーを裏で操っていた。殺しを依頼され矢沢議員を殺った龍は標的になった。
まるで悪夢だ。
「鶴さん。今回は誰も殺さず、奴らをサツに突き出してほしいんだ」
「いったい、どうしたんだ?」
「俺はもう引退したんだよ。誰も殺したくはない」
「引退か」
「引退だ。家族と静かに暮らしたい。それが昔からの夢だった」
「航。それはもう無理だろうよ。今も夜な夜な夢にうなされるだろう?奴らの顔が出てきて」
「ああそうだ。よく眠れないんだ」
グロック19を整備し組み立てながら話した。
「そうだとも。もうあとには引けない。この世界で生きていては家族も持てない」
「だから涼一に話したのか?」
「ああ。俺が責任を取る」
「鶴さん......俺がこの世界に入ったきっかけは鶴さんに命を助けてもらったからだ」
「そうだな。お前にすべてを教えた」
「感謝はしている。だから俺はどうしたらいいんだ」
航は頭を抱えた。何度も死にかけたところを鶴に助けてもらったことを思い起こさせた。
「もう一度、足立をやるんだ。航。龍の為にも」
<ガチャ>
扉から涼一が入ってきた。
「父さん。すべて聞いたよ」
力づよく父を見つめる涼一がいた。
「鶴さん。この場所を見せて、息子にすべて話したのか?」
航は愛用のグロック19を手に取り銃口を確認しながら話かけた。
「ああ。ここまできたら隠しきれないからな。彼は知っておく必要がある。龍の事もあるし。なんと言っても龍を慕っていた」
「そうか......」
「知っておく必要があるだろ。涼一なら大丈夫だ。彼は強い」
「いや、鶴さん、親からしたらまだまだガキだ。それに息子に迷惑をかけたくはない。自分なりに罪を償いたい」
「罪を償う?死んで当然の奴らのためにか?そんな必要はない。俺たちは世の中を良くしているんだ」
鶴には迷いがない。奴らをやらなければ自分がやられる世界で鶴もまた今まで生きてきた。
「それは理解できるんだが......」
航は銃を分解し始めた。
確かにフェンタニルはどこかから運ばれコンビニオーナーへ、そして城田会傘下の本田組のチンピラ、足立進へ薬が流れている。夜の南の街は安価な薬で暗黒へと化しつつあることを航も気にかけていた。
矢沢議員が金のためにコンビニオーナーを裏で操っていた。殺しを依頼され矢沢議員を殺った龍は標的になった。
まるで悪夢だ。
「鶴さん。今回は誰も殺さず、奴らをサツに突き出してほしいんだ」
「いったい、どうしたんだ?」
「俺はもう引退したんだよ。誰も殺したくはない」
「引退か」
「引退だ。家族と静かに暮らしたい。それが昔からの夢だった」
「航。それはもう無理だろうよ。今も夜な夜な夢にうなされるだろう?奴らの顔が出てきて」
「ああそうだ。よく眠れないんだ」
グロック19を整備し組み立てながら話した。
「そうだとも。もうあとには引けない。この世界で生きていては家族も持てない」
「だから涼一に話したのか?」
「ああ。俺が責任を取る」
「鶴さん......俺がこの世界に入ったきっかけは鶴さんに命を助けてもらったからだ」
「そうだな。お前にすべてを教えた」
「感謝はしている。だから俺はどうしたらいいんだ」
航は頭を抱えた。何度も死にかけたところを鶴に助けてもらったことを思い起こさせた。
「もう一度、足立をやるんだ。航。龍の為にも」
<ガチャ>
扉から涼一が入ってきた。
「父さん。すべて聞いたよ」
力づよく父を見つめる涼一がいた。