第24話 意見が一致

文字数 468文字

「まさか、じいちゃんが殺しでも請け負っているってでも言うの?」

 美咲が困った顔をした。

 みんなが一瞬にして背中に冷たいものが流れ出したことだろう。僕は確実に顔色が変わったに違いない。

「それはない」

 鶴さんが全否定し堂々と答える。

「それはないなぁ」

 親父が追随した。

 僕たち三人は見つめ合い沈黙の中で意見が一致した。この何とも言えない間は美咲に悟らせる結果になった。

「何も知らない方がいいな。美咲は」
 
 僕は美咲には犯罪に巻きこまれる事がないようにと願うばかりに、カッコつけたふるまいになった。
 見かけ倒れのタフな男だ。

「なによそれ!知っているわよ。子供の時から。この奥が秘密基地だってことも」

 親父はうつむき、鶴さんは天井を見つめ目を閉じ、僕は美咲を見つめた。

「ジュースもらおっーと」

 美咲は冷蔵庫を開け、りんごジュースのペットボトルを取り出し口をつけた。

「おいしい!」

 天真爛漫、無邪気な美咲は何を考えているのか僕には分からなかった。

 すべてお見通しよと言わんばかりに一気にジュースを飲み干した。

 一瞬、僕にウィンクしたように見えた。


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登場人物紹介

西山涼一。高校生。

父。西山航。サラリーマン。元殺し屋で狙撃手。

田中龍。父の友人。殺し屋。

下沢鶴男。合鍵屋<鶴>のオーナー。殺しの依頼も舞い込む店。


西山桃子。母。

田崎浩一。父の幼馴染の警察官。

足立進。南を牛耳るヤクザの下っ端のチンピラ。

美咲。涼一の同級生。

山本組の組長。山本。

山本組の坂口。

直斗。龍の息子。

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