第34話 佐久間涼子デビュー
文字数 994文字
工事開始準備のために、佐久間夫妻、山際、神山の4人がE国に向かった。
最初に、ナイロビのI国大使館で挨拶と打ち合わせを行う。
「大使閣下、領事館建設のための資材調達及び敷地確認のためにE国入りします。私達、佐久間2人がコチームリーダーになります。
それに、資材調達担当の山際、神山です。」
「共同リーダーですか。お名前が一緒ということはご夫婦ですか。」
「その通りです。私は電気通信、妻は情報工学が専門です。」
「なるほど、今回の案件にはぴったりの専門をお持ちのようだ。建築の方は。」
「妻が、建築の材料工学の学士を持っています。」
「ほう、材料工学ですか。提案書で代替資材の選定が的確だとうちの専門家が評していましたが、納得しました。心強い限りです。」
「ありがとうございます。」
「カールソン、何かあるか。」
「佐久間さん、お酒は。」
「そんなことは、今はいい。」
「いいえ、重要なことです。カラと飲めなければ、上手く行きません。」
「男性3人は大好きですが、妻はちょっと。」
「十分です。それで、ブツは。」
「5パック程、後のチームも携帯します。」
「私も、時々顔を出します。バーボンになります。飲みますか。」
「是非。」
「では、1ダース用意します。」
「これで、準備万端ですね。大使。」
「そうだな。儂も行った方がいいか。」
「ご自由に。酒はどうされます。」
「ラムはどうだ。」
「ラムはちょっと。」
「ジンはどうだ。」
「ジンもちょっと。」
「しょうがない。儂もバーボンだ。」
「よろしいようで。」
E国に入国し、加賀ハウスに入った。
「ここが、家族用ね。広くていいわね。トイレも空調も揃っていて、ホテルみたい。」
「食堂もあって、飯も食えるそうだ。風呂は温泉だと聞いた。」
「加賀さんは凄いわね。気配りね。」
「無駄にはならない、気配りだ。I国側もここを根城にするようだ。」
「これも、加賀さんが将来を予測していたのかしら。」
「決まっているだろう。あの加賀さんだから。」
大統領閣下に挨拶した後、首都の資材店と資材調達交渉を始めた。
数日後の夕刻、加賀ハウスの食堂に全員集まった。
「様子がおかしい。セメントや砂利の質が落ちている。しかも価格は据え置きだ。誰かが、買い占めたようだ。」
「こっちもそうだ。軒並みやられている。このままでは、仕様達成が難しくなる。」
「シールドになる石の特殊パウダーも見かけなかったわ。不味いわ。「加賀さんに相談するか。」