宇宙人

文字数 9,815文字


【考察論】
「ふぇぇ? クルちゃん〈宇宙人〉やったの? ウチ、気付けへんかった ♪ 」
「陽ノ咲モモカ、私だけではない。宇宙そのものに判断基準を据えれば、貴女も立派に〈宇宙人〉という定義になる」
 とは自己小説『G-MoMo 』の一幕ですが、今回の考察対象は〈宇宙人〉です。
 とはいえ、テレビを賑わす『あるない論』なんぞ下らないのでどうでもいいです。
 結局は〝ない派〟も〝ある派〟も〝心酔対象が違うだけの同じ人種〟ですしねwww

 私が考察したいのは『サブカル文化』としての〈宇宙人〉です。

 現在では〈リトルグレイ〉一色になって新味に欠けている趣に陥っていますが、昭和期は実に多種多彩な〈宇宙人〉が雑多に来訪していました。

 例えば〈フラットウッズ・モンスター〉──最も有名なロボット型宇宙人ですね。
 というか、そもそも〈宇宙人〉なのか〈ロボット〉なのかすらも不明な異形です。
 アメリカ・フラットウッズ州にて目撃された事から、この名が付きました。
 独特にして唯一無二なデザインのカッコよさから現在でも高い人気を誇っています。

 例えば〈金星人〉──ぶっちゃけ〝絶世の金髪美女〟でしかない(実際には男性もいます)。
 このタイプが雑多に存在する〈人間型宇宙人〉の中でも突出した認知度を得たのは〝ジョージ・アダムスキー〟がダイレクトコンタクトした宇宙人であるからで、彼が「金星人の円盤に乗せてもらって宇宙遊泳し、宇宙観点の超科学説明を授けられた」と前代未聞の未知体験を喧伝したため。
 またアダムスキーは「頻繁に友好接触は継続している」と唱い続けており、だから一躍〈コンダクターの巨星〉として奉り上げられ、世界各地で講演会を行う程の〈有名人〉にのしあがったのです。
 それに伴い搭乗円盤〈アダムスキー型UFO〉も〈空飛ぶ円盤〉のデフォルトとして据えられました。
 この〈金星人〉は〝友好的宇宙人像〟の先駆けでもあり、近年だと〈プレアデス星人〉〈クラリオン星人〉等が性質を引き継いでいます。
 
 そして、現在では死滅(?)した〈タコ型宇宙人〉──原点は『インベーション路線:地球侵略もの』の元祖にして名作にして金字塔である古典小説『宇宙戦争(著:H.G.ウェルズ)』に登場した〈火星人〉で、だから多く〈火星人〉と言えばコレでした。
 出典を鑑みれば由緒正しい宇宙怪物なのですが、現在にてこのタイプをやればギャグにしか捉えられない風潮にあるでしょう。
 というか、氾濫期にはダイレクト誇張に〈タコ〉として描くサブカル作品も多く(例『とんでも戦士ムテキング』)そうした背景から陳腐視されるようになりましたが、そもそもウェルズは〈タコ〉そのものではなく〝敢えて形容するなら〈タコ〉のような形態〟としたに過ぎません。
 実際、映画版『宇宙戦争(新旧問わず)』を観れば、根幹的なシリアス演出さえ為されていれば充分にリアルと感じられるのは明白かと思います。
 この形態は単に〝外見的奇異性〟を狙った安直な発想ではなく、現実的な科学考証を以て〈火星環境〉を脳内シミュレートして造り上げた像であり、つまりは立派に〈SF〉としてのリアリティーに在るのです。
 ついでに言えば、このイメージは『クトゥルー神話』の基点たる〈邪神クトゥルー〉に大きな影響を与えていると思うんですよね……この〈火星人〉のイメージから〝科学基盤のSF的イメージ〟をオミットして〝深淵な闇神話としてのオカルティズム〟を代替的テクスチャーとすれば〈邪神クトゥルー〉に新生するというか。
 あくまでも私的推測で真相は解りませんけど。

 此処に挙げたのは極一部の超有名人(?)ですが、こうした賑やかな背景を体験しているだけに現在の〈リトルグレイ〉一色はチト淡白過ぎる感もあります。 
 ですが、これは近年サブカルが抱える傾向のひとつでもあって、つまりは「代名詞的大家だけ在れば、それでいい」という括り方式が主流と確立したからとも言えるでしょう。
 例えば『昭和仮面ライダー/平成仮面ライダー』のマニア間対立図式はまさにコレに起因していて、つまり『平成仮面ライダー』とは昭和時代には『諸々の大人の事情から〈仮面ライダー〉とは名乗れない〝仮面ライダーみたいな仮面ヒーロー〟という細分化亜流を、現在では総じて〈仮面ライダー〉というブランドに括っている』という事が争点の原因です。
 或いは〈ゾンビ〉と括れば細分化的モンスターは不要になってきている(『モンスターコラム:ゾンビ』参照)。

 そして、これは実に興味深く面白い事象なのですが……こうした〈宇宙人像〉は〝その時代のサブカル〟が色濃く影響反映されています。
 例えば〈ロボット〉という存在が注目されるSF的風潮が強まれば〈ロボット型宇宙人〉の来訪する比率が増える……といった具合です。
 また、サブカルに於ける特色として、殊にアメリカ作品に登場する〈侵略宇宙人〉は〝仮想敵国の暗喩〟と分析されており、だから殊更『宇宙ロケット開発競争期』に氾濫した。
 一方で日本に於ける〈侵略宇宙人〉は概ね『子供向け特撮ヒーロー』の悪役として増産され、どちらかと言えば『妖怪文化』の延長線です。
 うん、同じ〈侵略宇宙人〉としても根幹となるメタファー志向が微々と違う。


 また近年の襲来目的は〈アブダクション:宇宙人による神隠し的な拉致軟禁案件〉のみに固執している感もあり、遭遇パターンも概ね同じです。
 拉致目的も、ほとんどが〈異種交配〉になっていて新味には欠けます。
 双璧たる実害行為の〈キャトルミューテーション:家畜牛を拐い内蔵を綺麗に抜き出して返却する等の行為〉も最近はめっきり控えているようですし(もしかして『狂牛病』が流行った辺りから自粛し始めたのだろうか?)。
 昭和期を見ると他には『探査目的』『不時着』『たまたま寄った』等、結構様々ありました。
 多くの人は、その異形奇異性によって失念しがちですが、彼等は〈宇宙人〉ですから、つまりは〈亜種族人間〉です。
 だから〝出張や観光気分で寄った〟としてもそれは自然であり、むしろ〈悪の組織〉めいた暗躍よりも全然〝自然な行動理念〟だと思うのです。

 或いは『某国秘密基地の独房にて虜囚グレイがストレッチをする映像』がテレビにて爆笑ネタにされた事がありましたが、私的には「何かおかしい?」でした。
 もう一度言いますが、彼等は〈亜種族人間〉なのですから、我々と同じように体だって鈍るはず……ともすればストレッチぐらいはするでしょう(況してや御家芸の〈超科学装備〉も没収されているのですから)。
 見た目が〈異形〉だからといって〈万能超生物〉とするのは短絡的過ぎますし、コズミックユニバース的視点から見れば我々のそうした排斥差別性質の方が〝未熟な鎖国文明故の低俗〟かもしれません。
 彼等は〈スーパーナチュラル:超自然存在〉として生まれ落ちた〈妖怪〉や〈怪奇モンスター〉とは微々と背景が異なります……というか、そうした前時代的妖怪から〝曖昧さ〟を極力排除して〝合理的科学論による現実的説得力〟というテクスチャーへと貼り替えた〈科学論怪物/現代型妖怪〉というのが本質。
 これは〈特撮怪人〉にも言えますが、昭和期の異形は本質的に〈妖怪〉と地続きでした。
 早い話が〝合理的科学論をテクスチャーとして新生した現代型妖怪〟なワケで、だから容貌も多岐的になり、また反面、雰囲気には微々と牧歌臭すらも醸している。
 この矛盾めいた両立内包こそ〈現代型妖怪〉としての立証でしょう。
 ただし現実的認識に在る〈宇宙人〉像の場合は〈特撮怪人〉が保有している〝牧歌臭〟すらも徹底排斥して、代替とばかりに〝科学起因の現実的説得力〟へと徹底的に貼り替えているワケですね。
 しかしながら、コレはあくまでも〝現代的感覚に訴えてリアルっぽく見せている〟だけであり、言い換えるなら〝都会っぽくスマートになっただけ〟です。
 うん〝素朴な田舎青年(妖怪)〟が上京した途端に華やかな毒に染められて〝ホスト紛いの都会っ子(宇宙人)〟になっただけ。
 現実的価値観に纏められたなら、そりゃリアリティー準拠にストレッチぐらいするでしょうよ。
 だって〈妖怪〉じゃなくて〈生物〉なんだから。
 そっちの方が『リアル』ってモンです。
 これが〈ミイラ男〉や〈ゾンビ〉なら「Σぅおい!」だけどwww
 その場その場の御都合主義で『リアル』の定義を摩り替えている方が失笑ものと呼べます。



 さて、比較的最近(と言っても、数年前の平成中期ですが)久々に『宇宙人本』を買いました。
 理由は『vs,SJK』を書く際に「そういえば〈宇宙人〉に関するデータベース本って持ってないな」と資料にするため。
 うん〈妖怪/怪物/神話/ホラー/怪獣怪人〉は腐るほど持っているんですが〈宇宙人〉は(同等には)持っていない。
 いえ、一応持っている事は持っていますし、それなりの知識は有りましたが……そこは『カッチリ明確化&網羅したデータベース』が欲しかった。
 理想は『妖怪図鑑』や『怪獣図鑑』のように古今東西の〈宇宙人〉を網羅解説したアーカイブ本でしたが、まぁ、コレが無く……多くは〈リトルグレイ〉主体の近年的SFオカルト観だったり特定の有名事件(『ロズウェル事件』とか)を追求考察したりとかで……私が求める『宇宙人大百科』みたいな資料性に富んだものは、なかなか無かった。
 ようやく一冊だけ御眼鏡に叶ったのは〈学研〉の……つまり『ムー』刊行のオカルトムック『宇宙人の謎/著:並木伸一郎』でした。
 まぁ、私にしても「眉唾臭ぇ!」と思いはしたものの、やはりこうした『オカルトガチ資料』では『学研/ムー』は突出していますし、そもそも〈オカルト〉は〝眉唾〟ですからね。何よりも〝その筋〟では有名な〝並木伸一郎〟ですから資料性は高い。購入時の周囲からの視線に恥さえ捨てればノープロブレムw
 ところが買ってみると、これがホントに『資料:俯瞰型アーカイブ』としては突出している。
 諸々のオカルト事件だけでなく雑多な〈宇宙人像〉の詳細とか、写真のみならず当時のイラストで古今東西の〈宇宙人〉を網羅解説!
 もう大満足どころか手放せない理想的な一冊でした。
 もしも貴方が『宇宙人資料本』を探しているなら超御薦めです(眉唾覚悟大前提ですけどw)。

 で、その本には、私が幼少期から刷り込み的に育んできた〈宇宙人知識〉と微妙に異なる〝新設定(言っちゃったよコイツw)〟が幾つか書かれておりました。
 例えば〝宇宙人の混血〟は〈エセサニィ〉と呼ぶとかね? 
 近年では〈ハイブリッド〉と称されますから、この点を比較に見ても〝やや前〟の設定なんでしょう(また『設定』言っちゃったよwww)。
 とはいえ刊行を見ると2001年ですけれど……ま、五年十年もすれば『設定』なんて大きく変わりますから。
 あの『仮面ライダー』だって、五年後には『アマゾン』ですし、六年後には〈ド派手な電気カブトムシ〉ですからね?www

 この本の記述にて、最も興味深いのは『宇宙人勢力相関図』ですね。
 以下、概要(誰が詳細を見聞きしたんか知らんけどwww)。

 宇宙人は大きく分けて〈オリオン・グループ:オリオン座基因の雑多な異星人勢力〉と〈ドラコニアン:竜座人〉及び、その配下種となる〈レプトイド:爬虫類型異星人〉という二大勢力が約五〇万年前の太古から地球に飛来して人知れず争っている……そうな。
 そんでもって、近年では新勢力〈インセクトイド:昆虫型異星人〉が参戦した……そうな(アクエ ● アンエイジ?)。

 まずは〈オリオン・グループ〉と呼ばれる雑多な異星人勢力──。
 約三〇万光年先に在る〈琴座・惑星リラ〉は高度な科学文明を誇ったが長年続く内戦から各地で放射能施設が暴発し地表を汚染──生き残った者達は新天地を求めて旅立った(バ ● タン星人?)。
 この内〈オリオン座・リゲル星〉に移民したのが〈リゲリアン〉と呼ばれる種に進化し、また〈レチクル座・ツェータ星〉に移民したのが〈レティキュリアン〉、同様に〈ヒアデス座〉に脱出したのが〈ヒアデス〉という種……だそうな。
 これらは枝分かれ派生ながらも、いずれも〈グレイ・タイプ〉との事。

 また、これらとは別に〈子犬座・プロキオン〉に脱出した者達は背高く豊かな金髪を持つ人間型異星人である事から〈ブロンド〉と称される(もう少し捻れ……)。
 彼等は後に〈琴座・ベガ〉と〈牡牛座・プレアデス星団〉へも移民している……そうな。

 いずれにしても彼等〈オリオン・グループ〉は漏れなく被爆影響でDNAに異常をきたしており、種族存続を維持するのが難しくなっていた。
 そこで異種交配目的で地球に来訪している……らしい。

 ところが、この〈オリオン・グループ〉が来訪する以前から地球には〈竜座・アルファ星〉を母星とした竜人型異星人〈ドラコニアン〉と、その配下たる爬虫類型異星人〈レプトイド〉の支配下に在った。
 彼等は世界各地の伝説伝承に在る〈竜〉のモデルであり、例えばアステカ蛇神〈ケツァルコアトル〉や〈エデンの蛇〉等は彼等の暗喩である……そうな。
 これらは〈ドラコニアン〉に畏敬支配されていた頃の〝人類の忘れられし魂の記憶〟……だそうな。

 で、この〈ドラコニアン〉によって〈オリオン・グループ〉の種族存亡を懸けた交配目的来襲は妨害され続けてきた……そうな。

 そして、今日も争いは続いている……。
 人知れずに……。

 ……。
 …………。
 ……………………。
 諸々既視感スゴいけれど、面白い『世界観設定』ではあるよね。
 ツッコミどころは多々あるけど……例えば「竜座は〝竜に見えなくもない星の整列配置〟から〈竜座〉と命名されただけであって、別に〝竜の生息地〟だから〈竜座〉と名付けられたワケぢゃねーよ! ってか、そもそも〝地球人視点〟でのネーミングだよ!」とかw
 ただ、まぁ、この大スペクタクル(?)は、あくまでも『物語』ではなく『オカルト雑学』ですから著作権フリー──誰でも引用可というのは魅力的な共有世界観です。
 なまじい〈シェアードノベル:著作権フリーの共有創作世界観〉の大家『クトゥルー神話』よりも使い勝手は良さそう(余白も多いですから)。
 いつか私も、この世界観設定で書いてみたいw



 さて〈宇宙人〉となると、どうしても世相の俗物根性を刺激する『あるない論争』に触れる事は避けて通れないでしょう。
 まず、此処に終始してしまう俗世のチープさ自体が如何なものかとは思いますけれど……。
 冒頭でも書きましたが、私的には〝ある派〟も〝ない派〟も〝心酔対象が違うだけの同じ人種〟にしか映りません。
 つまり心酔に溺れているのが〈オカルト〉か〈現行科学〉かだけで、根となっている〝安さ〟は同じ。
 まず〝ある派〟は「バルタン星人いたらいいな」「ショッカーが現実にいたらワクワクするな」という〝子供じみた夢想〟を卒業できないまま大人になった〝中二病型アダルトチルドレン〟に過ぎない。
 それが〝建設的原動力〟になっているなら〝中二病夢想〟も構いませんよ?
 例えば我々のような『創作行為』の礎とかね?
 だけど、そうじゃなくて「子供の時に憧れた怪獣はいるもん!」と駄々に卒業できていないだけ。
 だからトンデモ奇論ばかり即興創作して、妄想に溺れて、失笑ものとなる。
 結果、穴ばかり増産して〈オカルティズム文化〉そのものの社会的地位を逆にドンドン貶めてしまう。

 では〝ない派〟が官軍か?
 トンデモない!www
 少なくとも『あるないディベート』に出てくるような〈科学者〉は〈現行科学〉に溺れただけの輩で、自らの持論に於ける〝穴〟を自覚していない。
 彼等は何かにつけ「いまの科学で立証されてないから無いんだ!」と声高に主張しますが……それって「現行科学に解らない事なんか無いんだ!」って主張で、つまりは「いまの科学が頂点なんだ! だから万能なんだ!」っていう主張と同義だよね?
 って事は、現段階が総てで〈科学〉牽いては〈文明〉も「これ以上、発達しない」って言っているようなもんだよね?
 だって「現行科学が万能で解らない事なんて無いんだ!」っていう主張は『現行科学こそが頂点極まっている状態』って事で、つまりは『もう伸び代は無い』って事と同義だもの。
 バカ言っちゃいけない!
 現行科学で立証されるのは『現行科学で解明できている範囲内』だけであって〝解明出来ていない未知〟なんかゴロゴロ在る。
 現在でも〈新種生物〉や〈新種病原菌〉や〈新しい星〉が発見されるのは何故ですか?
 或いは〈新テクノロジー〉〈革新的医学〉が登場するのは何故ですか?
 各国政府が宇宙開拓に躍起になるのは何故ですか?
 それは〝解明され尽くしていない未知(既存常識からの伸び代)〟が在るからです。
 そもそも文化やテクノロジーが発達したのは確かに〈科学研究〉の恩恵ではありますが、だけど〝それ〟は彼等のような人種ではなく〈未知/未解明/未開発〉という部分に〝正面から向き合って挑んできた人種〟による偉業です。
 〝無い〟という既存常識に対して「無いなら作り出して立証しよう」「無いなら本当に〝無い〟のか追究してみよう」とか建設的且つ前向きに挑戦姿勢で臨み続けた科学者or技術者が勝ち取ってくれた恩恵。
 昭和期では「所詮は漫画の産物だから」と一笑に流されてきた〈人型ロボット〉や〈アンドロイド〉が現実として運用研究されていますが、これは『鉄腕アトム』や『ロボットアニメ』に洗礼を受けた層が「無いなら造って現実化してやる!」と熱意に臨んできた結果です。
 或いは携帯型多機能モバイルである〈スマホ〉は『ウルトラ警備隊の通信ブレスレット』の現実化とも言えますし、高齢化時代の安全面で期待が寄せられている〈AI搭載型オートマチック車〉とて過去には『SFの妄想産物』だった。
 〈ドローン〉?
 在るワケが無いでしょう……〝過去〟の〈現行科学〉には。
 もっと身近な〈ペットボトル〉やら〈ホット自販機〉やら〈テレビ〉やら〈ゲーム〉やら……みんな〝過去の現行常識〟には無かった。
 全部〝意欲的に研究開発された〟からこそ〝出来た〟ワケです。
 当たり前に触れている〈アニメ〉だってノストラダムスの予言に「やがて絵が動いて喋り出す時代が来る」と唱われた頃には〝無かった〟訳で、予言を聞いた人からすれば「はぁ? 何言ってんの?」だった事は想像に難くありません。
 要するに一概に〈科学者〉と言っても〝現行科学を建設的挑戦の基盤と礎に用いて発展に貢献するタイプ〟と〝現行科学に溺れるままに満足しているだけのタイプ〟という二種がいるワケで〈あるない論科学者〉は概ね後者。
 ま、現行科学準拠の姿勢でもいいんですよ。
 それをフル活用に〝人助け〟してくれている立派な人達もいますから(お医者さんとかね)。
 そうした方々には、心底敬意と感謝の念を抱きます。
 だけど『あるない論争』に出てくるような輩は「論破にフルボッコ出来る俺TUEEEE!」だから、幼稚な事この上無い。
 私は、このタイプを〈何も生み出さないタイプの科学者〉と括っています。
 つまり、どちらも「自分の崇拝対象が絶対なんだ!」と(根拠曖昧のままに)溺れているだけで、だから〝心酔対象が違うだけの同じ人種〟って結論。
 〝ない派〟が常識派官軍として映るのは、そりゃただの〝数の暴力〟で、また、それを成立させるディベート環境になっているから(テレビ局に御膳立てされているから)。

 これは〈宇宙人〉としての論からは微妙に外れますが……一応『あるない論』を考える意味でも重要なので触れておきます。
 かつて『死後の世界を民俗観念や科学論から多角的に分析する』というテレビ特番がありました。
 その中で、脳科学者が実に大切な事を言っていた。
 アレコレと脳科学見地から「こうした観念や精神の働きから〈死後の世界〉という古今東西の人類共有概念が生まれた」とするも「では〈死後の世界〉は無い?」という質問に「そうとは言えない」と。
 曰く「科学というのは〝ある〟という事はデータ分析に立証できても〝ない〟という事は立証できないんです」
 そして、こう危惧を添えていた。
「いまはテレビの『あるない論争』で科学者達が『ない!』とバッサリ否定するけれど、僕はそれを非常に危険な事だと思っています。何故なら〝人間の心〟というのは、そんな絶対的に強くはない。何処かに開放する〝逃げ道〟を作っておかないと閉塞感に壊れてしまう事もある。もしも〈死後の世界〉が無いという観念が定着した場合『どうせ今が総てだし』と刹那的な犯罪に走る人が増えるかもしれないし、或いは絶望感から自殺者も増えるかもしれない。〈死後の世界〉や〝そうしたもの〟があると漠然ながらも思う事で歯止めになったり自省になったりしている部分は〈人間〉には絶対あるんです。それは『あるない』よりも、すごく〝大切な事〟なんです」
 ……真髄です。
 まぁ、早い話がこれは〈アニミズム:精霊崇拝論〉の真髄でもあり、それは『科学論』というよりは『哲学』『倫理論』の域ですから『あるない論:唯物論義』で出すのは反則にも見えなくはないでしょうが……でも『人外存在意義』を突き詰めれば〝そこ〟に行き着く。
 或いは、某『あるない番組』で不毛な水掛け論が過熱した際、某女性演歌歌手が「でもね、実際『あるかないか』は別として〝そういうもの〟があると思えば、万が一の時に自分を戒めてくれる大事な面もあると思うの。後ろに親や御先祖さまが見ていると思えば、魔が差しそうな時でも『いけない!』と思い止まれるし」と柔和に示しました。
 まぁ〝落としどころ〟ですが綺麗な着地です。
 それこそ先述のように〝あるない論に〈アニミズム〉を出すギリ反則〟にも映りますが、正論ですし落とし方も綺麗。
 ところが興奮冷めやらぬ某中堅タレントは「だったら、アンタは〝そういうもの〟が無ければ悪い事をするのか!」と喧嘩腰に吐き責めた。
 何? バカなの? この子バカなの?(by坂田銀時)
 何でもかんでも噛みつきゃいいってもんでもないだろうに……。
 じゃあ、貴方は墓も仏壇も持たない主義なのね?
 正月を始めとした祭事や行事もしないのね?
 仮に家族や大切な人を亡くしたとしても『生体活動の限界が来ただけの話』と割りきれるのね?
 悲しまないのね?
 葬式もしないのね?
 貴方が否定した〈アニミズム〉ってのは、そういう事に繋がるのよ?
 さすがに、この時には味方陣営の〝ない派〟も言葉を呑んだばつの悪さに下を向いていましたね……イキッてる当人は気付いていませんでしたけど。

 って、チト憤りみたいに脱線してしまいましたが……結局はテレビの『あるない論』ってのは、そのレベルなんですよね。
 殊に、こうした話題に於いて日本人はまだまだ稚拙なようで「否定論破できる俺TUEEEE!」ってマウントスタンスの方がカッコイイと思っているのか、そもそもがマトモに論議する気すら無いという(これは、その場凌ぎのオチャラケ奇論に茶を濁す〝ある派〟も同罪)。
 要するに『ディベート』にすらなっていないんです。
 ただの『吊し上げバラエティー』にしかなっていない。
 〝ある派〟はウダウダ中二病夢想してないで〈ゴジラ〉の一匹でも捕獲してくりゃいいんです。
 〝ない派〟は矛盾した否定論の多数派イヂメで優越酔いしてる暇があったら〈メカゴジラ〉の一体でも造りゃいいんです。
 しょせんは中二病同士の水掛け論だから、最初から〝何〟も無い。
 ただの公開リンチショーです。
「つまらん! オマエの話はつまらん!(by大滝秀治)」

 まぁ、私的には「ある」にしても「ない」にしても、どちらでもいいんですけどね。
 そもそも私の〈宇宙人美学〉は「ある!/ない!」なんて〈唯物論基準〉ではなく、エンターテイメントとしての〈サブカル発展史〉の一環に過ぎないから。
 つまりは『フランケンシュタイン』や『吸血鬼ドラキュラ』と同じ視点で〝楽しんで〟いるだけ。
 要するに、私のスタンスとしては
「俺は食うだけだ(by雲のジュウザ)」


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