J9シリーズ

文字数 9,210文字


【J9シリーズ】
作品DATA:東京12チャンネル系(現テレビ東京系列)/全3作
制作:国際映画社

【解説】
『銀河旋風ブライガー
(1981.10.6~1982.6.29/全39話)』
『銀河烈風バクシンガー
(1982.7.6~1983.3.29/全39話)』
『銀河疾風サスライガー
(1983.4.5~1984.1.31/全43話)』
から成る一連のロボットアニメシリーズで、共通世界観の歴史として紡がれる作品群。
 主役チーム名から『J9シリーズ』と称される。

※ 今回は『J9シリーズ』を統括的に取り扱っております。

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【考察論】
 社会現象となった『機動戦士ガンダム』ブームで〈アニメ〉というジャンルは立場的に向上し、市場も大きく拓けました。
 そうした流れに於いて、それまで玩具商業主導のがんじがらめな一途にあった所謂『スーパーロボットもの』も〝野心的な創作意欲のままに挑戦できる〟と比較的自由な傾向になり──というか、まだ玩具主導意向が弱かった『マジンガーZ』以前の体質まで若干だけ遡り、これまでにない作風や創作魂を織り込んだ作品が作れる土壌が確立しました。
 と言うよりは『ガンダム』の影響で、玩具商売主導の『子供向けロボットもの』にも、そうした〝マニアとの両天秤〟が求められたのでしょう。

 本シリーズは、そうした作品群の一角であり、また絶対に外せない存在。
 当時の〝三強スーパーロボットもの〟は
 大河的なドラマティック性に重きを置いた『六神合体ゴッドマーズ』
 時代の感性を逸早く嗅ぎ取ってライトポップなアメリカンウェットセンスでキャラクター描写に特化した『戦国魔神ゴーショーグン』
 そして〈スペースオペラ〉として特化した、この『J9シリーズ』となるでしょう。
 しかし、シリーズ展開をしたのは本シリーズのみです(まあ、他二作品は劇場版&OVA 展開になったのに対して『J9シリーズ』は無かったですが)。


 偉大な先人たる創作者達は『スペースオペラ』というジャンルに強く憧れを抱いていて(それこそテレビアニメ創世記から)、それを実らせようと腐心する傾向も『特撮&アニメ史』に於いては幾度か見られるのですが、本シリーズは殊にその方向性に特化していて、尚且つ、もうひとつの大ヒットSFジャンル『ロボットアニメ』と融合を果たしたのが特徴です。
 各作品は数百年経過単位で歴史的に繋がっていて、大局的に世界観を楽しめる俯瞰構造というのも国内作品では珍しい特色です。
 そうした世界観構成が売りの『機動戦士ガンダム』『超時空要塞マクロス』にしてもシリーズ化展開はもう少し後年になりますし『マジンガーシリーズ』は一年単位の経過で大局史実とは言い難い(まあ『ウルトラシリーズ』や『仮面ライダーシリーズ』は既に在ったけど……アレは『ロボットアニメ』ではないので、今回は畑違いとしますw)。
 唯一の特例は『トランスフォーマー』が宇宙時代の『トランスフォーマー2010』に推移した事ですが、数世代(3作品)に跨がる展開をしたのは『J9シリーズ』のみでした。
 ともすれば、こうした大局的世界観構築のロボットアニメは初かもしれません。
 作品によってガラリと設定や雰囲気が変わりますが、歴史的には繋がっているので過去作品の展開が後続作品に大きく影響を及ぼしている事も少なくありません。
 例えば初作『銀河旋風ブライガー』の巨悪〝カーメン・カーメン〟が遂行した太陽系爆破によって選民淘汰&銀河新生を促す〈大アトゥーム計画〉は最終的には完全阻止できなかったものの、結果として太陽系銀河から地球人類種子の活動範囲を拡張し、それは第二作目『銀河烈風バクシンガー』の世界観根底に大きく根となっています。
 第三作『銀河疾風サスライガー』でも、前作『銀河烈風バクシンガー』に登場した〈銀河烈風隊〉の偉業伝説に絡んだエピソード等が作られています。




 そして、作品共通キーワードとして機能しているのが主人公チーム〈J9〉です。
 そもそもの〈初代J9〉は、アステロイドベルト歓楽街〈ウエストJ区9番地〉にて結成されたコズモレンジャーチームでした。
 弱者の味方として悪を裁くが、基本的には報酬によって動くビジネスアウトローです(とはいえ、情で妥協する事も少なくはないのですが……)。

 後続作品に於いて
〈銀河烈風隊/J9 Ⅱ 〉
〈JJ-9(ダブルJ9)〉
とチーム名は継承されていきますが、実は因果関係はありませんし、よくある〝子孫〟という設定でもありません。
 単に初代が〝伝説的英雄像〟と語り継がれ、その〝自由の象徴〟という側面にあやかって名乗っているだけです。
 作品によって主要となるメンバー構成も疎らです。
 しかしながらチーム構成の核である四人+情報屋は初代からの声優陣(曽我部和行&塩沢謙人&森功至&麻上洋子+八奈見乗児)が継続してCVを担当しており、それによって作品世界観のパイプ効果として機能しています。

 また、特筆すべき点のひとつとして挙げておきたいのは、キャラクターデザインとして〝小松原一男〟が起用された事であり、のみならず全面的に〝作品の顔〟と機能していた点にもあります。
 それこそ『タイガーマスク』『デビルマン』『ゲッターロボ』etc ……とテレビアニメ黎明期から第一線で八面六臂な活躍をしていた大ベテランで、とりわけ〝引き締まった肢体美〟と〝躍動感に溢れるダイナミックな動き〟には定評のある方です。
 この起用は往年のアニメファンにはたまらないもので、それだけでも確固たる熱狂信者層獲得に繋がりました。




 独自のSFガジェットとして注目したいのは〈シンクロン・マキシム〉という理論&システムでしょう。
 初作『銀河旋風ブライガー』に於いては〈ブライシンクロン・マキシム〉、第二作『銀河烈風バクシンガー』では〈爆走合身/シンクロン合体〉と呼称されていますが原理的には同一の物です(尚、第三作『銀河疾風サスライガー』では〈スペースサスライド〉と呼ばれていますが、そもそもサスライガーは巨大機関車なので、これは単なる〈変形〉に過ぎないという説もあります)。
 この〈シンクロン・マキシム〉は〈質量保存の法則〉を拡張させた独自理論で、並列次元を媒介として質量を一時的に譲渡or借用して、主役マシンの体積を増大or縮小するシステムの事になります。
 早い話が〝(次元科学的合理性を帯びながら)巨大化or縮小化が可能〟とした理論です。
 十中八九、子供嗜好だけを念頭にデザインされた玩具(ロボット⇋ジェット機⇋スーパーカーの変形やオートバイ五台合体など)に、SF的なリアリティーを帯びさせる苦肉策として考案されたものには間違いないのですが、それでもコレは見事な『発明』であり、ともすれば『マジンガーZ』の〈搭乗型ロボット〉という発想や『宇宙戦艦ヤマト』の〈ワープ航法理論〉と同じぐらい〈SF発展史〉的にも一石を投じるほどの素晴らしいガジェットです。
 一見、大雑把な子供騙しにも見えるかも知れませんが、近年には一昔前では荒唐無稽と一笑に伏されてきたような多次元宇宙理論が〈ブレーンワールド論〉として学会でも真剣に論じられているのですから、この〈シンクロンマキシム理論〉とて、もはや単なる絵空事と軽視するのは、それこそ前時代的審美眼と言えるでしょう。
「充分に発達した科学は、魔法と見分けがつかない」──SF小説の大家〝アーサー・C・クラーク〟の言葉です。
 例えば、当時の子供達に羨望アイテムだった『ウルトラセブン』の〈ウルトラ警備隊のブレスレット型通信機〉は当時の大人達には「子供騙しの絵空事」としか映らず失笑されていましたが、現在では〈スマホ〉として現実化&一般普及されています(と言うか〈スマホ〉の方が高性能です)。
 SF鉄板だった〈人工知能〉や〈ロボット〉〈アンドロイド〉とて、そうです。
 或いは〈ヴァーチヤルリアリティー〉でもいいでしょう。
 優れた発想というものは発表当時には〝嘘臭く〟も見えますが、時代が経過して科学論が発達すると〈現実〉の方が追い付くというのは、よくある事象です(特にサブカル発信のガジェットには)。
 ともすれば、この〈質量保存の法則〉を逆手に取って風穴を開けた新規論は、もっと注目されてもいいし、もっとリスペクトされてもいい独創的ガジェットなのです。
 うん、もっと継承発展させてもいい(実際、私は自己小説『G-MoMo』にて応用させて頂きました)。




 さて今回、各作品紹介は後述記載するとして、ここではシリーズの統括的考察を記したいと思います。

 本シリーズのコンセプトは『王道スペースオペラ』+『スーパーロボットもの』である事は間違いなく、それも『古典的なアメリカスペオペ感』を根幹としています。
 つまり〝戦後初期のアメリカにてSFブーム渦中で氾濫した作品像〟です。
 小粋にシャレたアメリカンチックな感性のキャラクター像も、そうした方向性を顕著に反映したものになります。
 新撰組をモチーフとした第二作目『銀河烈風バクシンガー』はやや異端感もありますが、それでも〝和〟のテクスチャーを剥げば惑星政府間の思惑が交錯するスペースユニバース感が主体としてあり、そうした主旨から外れていない事に気付かされるでしょう。
 先述のように、多くの先人創作者達にとって『スペースオペラ』とは挑戦したくて止まない魅惑のジャンルのようでした。
 古くはモノクロ時代の『宇宙エース』『レインボー戦隊ロビン』等が在り、黎明期には『宇宙の騎士テッカマン』『SF西遊記スタージンガー』『宇宙からのメッセージ』と意欲的にチャレンジした作品も見られ、昭和後期には『スペースコブラ』『ダーティペア』『クラッシャー・ジョウ』等が在ります。
 平成に入っても『ロスト・ユニバース』『ギャラクシー・エンジェル』『宇宙戦隊キュウレンジャー』等が存在します。
 あの『ウルトラマンシリーズ』にても『ウルトラマンA』以降は〈ウルトラ兄弟〉の設定を確立し、そこから拡張して〈光の国〉や〈宇宙警備隊〉の設定を確固として『スペオペ』化が試行錯誤され『ザ・ウルトラマン』や『アンドロメロス』にて一過性ながらも果敢に本格的挑戦が試みられ、それは後年の『ウルトラ大怪獣バトル』や〈ウルトラマンゼロ〉を基点とした〈ウルティメット・フォース〉で開花します。
 こうしたサブカル史的事象は、おそらく先人創作者達が〝当時、初上陸した『スペオペ』というジャンルに衝撃的カルチャーショックを受けた最初の世代〟という背景が在るのでしょう。
 広大な宇宙空間をスーパー宇宙船で駆り、巨悪や宇宙怪物を勧善懲悪のカタルシスで下す──確かに魅惑的な世界観であり、自由度の高さも随一です。
 私含め、いつかは成功作を築きたい後続世代も少なくはありません。
 しかしながら、日本国内ではマニアックな支持こそ受けるものの一般人気は得られない傾向に在り、市民権を得た数少ない成功作品と言えば『キャプテン・ハーロック』に代表される『松本零児ワールド』か『コブラ』に代表される『寺沢武一ワールド』──そして、近年になってようやく大成した『ウルトラマンシリーズ』でしょうか。
 どちらかと言えば、日本に於いては『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河英雄伝』のような『宇宙戦艦による海戦型スペオペ』の方が市民権を得る傾向にあるようです。
 発祥国アメリカに於いては『スター・ウォーズ』『スター・トレック』の二大巨頭が世界を席巻していますが、そもそも前者『スター・ウォーズ』は〝ジョージ・ルーカス〟が古典王道スペオペ『フラッシュ・ゴードン』をリメイクしようとしたものの製作許可が下りなかったためにオリジナル世界観にアレンジしたものです。
 日本に於いて『スペースオペラ』とは羨望的賛美に捕らえられる呼称となっていますが、本国アメリカでは蔑視揶揄的呼称でした。
 語源となったのは『ホースオペラ』という蔑称で、コレは『シェーン』のような〝凄腕の流浪主人公が辿り着いた街で悪の存在と対立し、女子供や弱き者のために武力行使で正義を貫き、そして去っていく〟というような〝アクション型勧善懲悪パターン西部劇〟を指すもので、マニア間にて用いられていた俗称に過ぎません。
 で、SF過度期にはそうしたパターンの通俗SFが氾濫した事で『ホースオペラのSF版』として『スペースオペラ』という蔑称が使われ始めたのが始まりです。
 つまり、賛美的ジャンル呼称ではなかった。
 ところが日本にて『SFマガジン』で紹介されると、瞬く間に好意的に受け止められて定着しました。
 おそらく〝日本人〟の肌には合ったのでしょう。
 そもそもが『娯楽時代劇』の国柄ですから〝勧善懲悪を大義とした痛快なチャンバラの末に分かり易い大団円〟は鉄板ですし。
 ともあれ、そうした背景から日本では魅惑的なSFジャンルとして定着したようです。


 些か『スペオペ論』へ偏ってしまったので本題に方向修正します。
 このように日本国内に於いては創作意欲を掻き立てる魅惑ジャンルでありますから、当然ながら成功させようと意欲的に望む姿勢の創作者は後を絶ちません。
 本シリーズも、そうした意欲から製作されたのは間違いないのですが、特筆すべきは〝非常に直球〟だった点だと私的には考えます。
 大なり小なり現代風(そしてジャパニメーション風)なアレンジが施されるのは常ですが、本シリーズは『スーパーロボットもの』という大規模な異端要素を孕みながらも、作風自体は非常に懐古的な王道感が根底に色濃いのです(その化学反応も観ていて楽しい)。
 大局的な大河筋立てはあまり無く(第二作『銀河烈風バクシンガー』以外は)、基本的に一話完結のエピソードでスッキリ観終われる。
 それでいながらキャラ立ちやガジェットは見事に完成させているから、それ相応の満足な痛快感を味わえる。
 早い話が〝よく出来た通俗娯楽〟なワケで、それは先述の〈三強〉として肩を並べた『六神合体ゴッドマーズ』『戦国魔神ゴーショーグン』が大河的作風や連続性に比重を傾けていた作風である事と比較しても明確な差であり、また人気の住み分けにも機能していました。
 この『J9シリーズ』の直前は『機動戦士ガンダム』に端を発する〈リアルロボットもの〉の過度期にも差し掛かり、それらは確かに楽しみではあったものの、そのヘビーな暗さに食傷気味になってきた層がいたのも事実であり、だから単純明快にして斬新でもあった『トランスフォーマー』がスマッシュヒットした。
 そうした背景を鑑みると『J9シリーズ』の〝痛快性特化〟も決して的外れでもなく、むしろ時代を嗅ぎ取った戦略性に沿っていたのかもしれません。
 そもそもの『スペースオペラ』は通俗娯楽であり、高尚なジャンルではありません。如何にして大衆を一過性ながらに楽しませるかを本分としたジャンルでしたから、そういった意味では『J9シリーズ』は極めて正しい遺伝子を継承していたと言えます。
 どうしても〝凝ったストーリー性〟や〝深遠なメッセージ性〟が求められる昨今に於いて、こうした〝娯楽性特化の痛快性〟というのは発信が難しくなってきてはいます。
 また同時に、そうしたものを帯びていないと〝三流〟的な扱いも……。
 ですが、本シリーズを観ると『エンターテインメント性とは何ぞや』という根源に気付かされる面もあります。
 関わっているのは当時第一線のベテランですから『重厚な作風』を作ろうと思えば作れないはずもなし。
 しかしながら、本シリーズで目指したのは『王道スペオペ』の遺伝子であり、それを当時の子供達に魅力的に伝える事です。
 ともすれば、非常に〝プロフェッショナル〟な仕事ぶりとして称賛すべきでしょう。
 広大な宇宙を舞台に駆け巡り、カッコいいスーパーロボットで悪を下す単純明快なカタルシス──子供達がワクワクしないはずがない!
 同時に、ロックンロールな主役達は軽快なキャラクター性の裏に魅力的な陰を背景と秘め、そうしたヴェールがエピソードによって垣間見せる演出描写はマニア視点の鑑賞にも訴える重厚な人間模様として機能していました。


 エンターテインメントに特化した時代の寵児──。

 懐古的王道にして、次世代への継承を志したスペースオペラの新規像──。

 勧善懲悪のカタルシスを謳うストレートなスーパーロボット作品の魅力──。

 それが『J9シリーズ』なのです。


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【銀河旋風ブライガー】
作品DATA:1981.10.6~1982.6.29/全39話
主役ロボット:ブライガー
全高:32.4メートル/体重:315トン
変形:
 スーパーカー〈ブライサンダー〉
 スーパー戦闘機〈ブライスター〉
武器:
 ブライキャノン/ブライソード/ブライスピア etc……
チーム名:コズモレンジャー〈J9〉
構成メンバー:
かみそりアイザック/アイザック・ゴドノフ
ブラスター・キッド/木戸丈太郎
飛ばし屋ボウィー/スティーブン・ボウィー
エンジェルお町/マチコ・ヴァレンシア
メイ・リン・ホー
シン・リン・ホー
パンチョ・ポンチョ

コンセプトモチーフは『必殺仕事人』。
太陽系銀河に人類が進出した宇宙時代を舞台に、各惑星を縄張りとした犯罪組織〈コネクション〉勢を相手取り、天下御免のアウトロー〈コズモレンジャーJ9〉が晴らせぬ恨みを代行して裁く!
無論、報酬ありきの裏家業ではあるが、時としてそれは便宜的建前であり、人情味に動く事も少なくない(そこがまた燃える!)。
諸々の〈コネクション〉の中でも重要な存在は、金星の教団組織〈ヌビア・コネクション〉であり、そのトップ〝カーメン・カーメン〟は木星を爆破崩壊させて新世界を想像する〈大アトゥーム計画〉を企てていた。
これを阻止するのが〈J9〉最大の大仕事となるが、その最中で〝カーメン・カーメン〟は外宇宙生命体である事実が発覚。
一応、太陽系銀河崩壊の危機は阻止したものの計画主旨自体を完全に阻止する事は叶わず、結果として地球人類による外宇宙進出への門を広げる形となった。
しかしながら、それは新太陽系銀河として新たな希望的未来の幕開けとも言え、後の『J9シリーズ』への世界観拡張として機能する。

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【銀河烈風バクシンガー】
作品DATA:1982.7.6~1983.3.29/全39話
主役ロボット:バクシンガー
全高:48メートル/体重:106.8トン
変形:
 5台のオートバイ〈バクシンマシーン(レップーン&タイフーン&ハリケーン&サイクロン&モンスーン)〉によるシンクロン合体〈爆走合身〉によって完成する。
武器:
 バクソード/ニューバクソード/バズーカ砲 etc……
チーム名:銀河烈風隊〈J9Ⅱ 〉
構成メンバー:
ドン・コンドール/デューク・近藤
もろ刃のシュテッケン/シュテッケン・ラドクリフ
ビリー・ザ・ショット/真幌羽志郎
かっ飛びの佐馬/左馬之介・ドーディ
不死蝶のライラ/ライラ・峰里
ジャッキー・リー
ファンファン・リー
スリーJ

コンセプトモチーフは『新撰組』であり、タイトルでもあるロボット名はオートバイによる〝爆進〟と〈新撰組〉を暗喩する〝幕臣〟を掛けている。
前作『銀河旋風ブライガー』より数百年後の新太陽系銀河を舞台として、地球側エド政府と惑星政府間の政権思惑が交錯する渦中にて、地球政府の遊撃隊として旗揚げした〈銀河烈風隊J9Ⅱ 〉の若者達の葛藤を描く青春群像劇。
シリーズの中で最も重厚且つ硬派な作品であり、救いのないほどシビアな作風は時として〈リアルロボットもの〉を軽く凌駕する。
モチーフが『新撰組』であるために最終エピソード篇では主要キャラクター達が次々と悲壮な最期を遂げ、激動にうねる時代の贄として描かれた(最終的には全員死亡)。
善悪概念すらも置き去った壮絶さは圧巻の一言であり、観た者の心に異端名作として強く心に刻まれる。
ちなみに筆者が一番好きな『J9シリーズ』である。

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【銀河疾風サスライガー】
作品DATA:1983.4.5~1984.1.31/全43話
主役ロボット:サスライガー
全高:22.55メートル/体重:72.5トン
変形:
 宇宙機関車〈J9Ⅲ 号〉
武器:
 イオン駆動超大型ドラムマシンガン etc……
チーム名:〈JJ-9(ダブルJ9)〉
構成メンバー:
I・C・ブルース/ブルース・カール・バーンステイン
抜きうちロック/ロック・アンロック
おとぼけビート/ビート・マッケンジー
きまぐれバーディ/バーディ・ショウ
ジミー見城
スージー張
D・D・リッチマン

コンセプトモチーフは〝ジュール・ヴェルヌ〟の古典的冒険SF小説『80日間世界一周』。
主役ロボット〈サスライガー〉は様々な点でシリーズ初のコンセプトが基盤とされていて〝剣〟ではなく〝銃〟を主武器としており、人顔を廃したデザインとなっている。また緑の機体色というのもヒーローロボットとしては目珍しい(おそらく〈ブライガー〉が赤で、続く〈バクシンガー〉が青という対比もあるだろう)。

前作『銀河烈風バクシンガー』より更に数百年が経過し、新太陽系銀河は安定的な生活圏へと発展した。
宇宙カジノにてボロ儲けをする天才ギャンブラー〝ブルース〟は、その支配人にして闇世界〈ブラッディ・シンジケート〉のボス〈ブラッディ・ゴッド〉と一世一代のビッグギャンブルとして〝1年間で新太陽系銀河50惑星を巡って帰還する勝負〟を買って出た。
無論、事無きで進めるはずもなく、ドンの手先による妨害工作や遭遇惑星でのトラブルに巻き込まれながらも、無敵の愛機〈J9Ⅲ 号/サスライガー〉で困難を切り開いていくのだ。
本作では新規主要メンバーとして駆け落ち密航者の〝ジミー〟&〝スージー〟が加わり、この恋人達のゴールインもひとつの伏線として機能している。
前作『銀河烈風バクシンガー』が異端過ぎて脱線した趣もあったせいか、本作では初心に返ったアメリカンライトポップ感へと戻った。
しかしながら、平和な時代で培われた世代のせいか初代〈J9〉に比べると〈JJ-9〉の方は軽薄化している感がある上に、アイディア的に出尽くしたのかキャラクターデザインも無個性亜流な感も否めない。
また、どことなく凡百な作風からはシリーズ終息感も拭えなかった。
とは言うものの『古典的スペースオペラ』という側面から考察すると、実は本作こそが一番志向に沿っていた作風なのも事実ではある。
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