ウミ
文字数 219文字
何を彼らは騒ぎたてているのだろう。少し目を離していたあいだに人間が滅んだからといって、それがどうしたと言うのか? 人間たちがもういないのであれば、観察していた彼らはお役御免、皆で元いた世界に還ればよいだけではないか。蒼いだけの海原のふりをやめ、色鮮やかな時の遥かな海を渡って――。日曜日の朝、ベッドで寝返りを打ちながら波の音に顔をしかめ、こんなことを考えている。今日は伯母が訪ねてくる日で、起きたくない。どうせまた結婚を勧められるのだ。
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