ウミ

文字数 219文字


 何を彼らは騒ぎたてているのだろう。少し目を離していたあいだに人間が滅んだからといって、それがどうしたと言うのか? 人間たちがもういないのであれば、観察していた彼らはお役御免、皆で元いた世界に還ればよいだけではないか。蒼いだけの海原のふりをやめ、色鮮やかな時の遥かな海を渡って――。日曜日の朝、ベッドで寝返りを打ちながら波の音に顔をしかめ、こんなことを考えている。今日は伯母が訪ねてくる日で、起きたくない。どうせまた結婚を勧められるのだ。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み