オチル
文字数 255文字
ふたたび空を引き裂くやんちゃ坊主。空の色が気にいらず、赤がいい青がいいとわがままを言う。地上に生きるわたしたちは見上げることしかできない。あんな乱暴なことをしても彼は不思議と責められない。むしろ元気があってよろしい、積極的に生きていると誉められさえする。耐えるわたしたちは消極的というわけだ。彼はそのうち大地の色にまで不満を感じて裂きはじめるだろう。その時地上の生き物はどこへむかって落ちていけばよいのか。やんちゃ坊主がかつて鼻で嗤ったわたしの仕事、詩作。これはわたしが密かに進めている、宙を歩く練習である。
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