イクサブネ
文字数 314文字
とても大きないくさぶねに乗っている。甲板は広大で、ほかの人間とすれ違ったことがない。下におりれば、何階層が設けられているのかわからないほどであり、艦橋も上空へむかい構造物が無限に積み重なっているように見える。大砲は極めて巨大で、外敵を大地の球の裏側より少しも近づけさせないものだと知っている。わたしはこの艦の一員であることを誇らしく思う。そう、わたしは戦士なのである。それは間違いないはずだが、何の役目で乗っているのかがわからない。いつ、あの艦橋の果てなる最上階から初めての命令が伝えられるのだろう。どのような敵と戦うのだろう。誰かに訊いてみなければと思い、堂々たる広さを持つ艦のなかをほかの人間をさがして何年も彷徨っている。
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