やっぱり『若い』が正義? Rev1

文字数 607文字

彼は、もっと目を引く対象を見つけたようだ。
それは、私の隣に座る後輩の女性たちだった。
特に入社して2年目の後輩には、彼は『特別な興味』を持っていたように思う。
ただ、その後輩には彼はあまり受け入れられていなかったようだが、それは好みの問題だろう。

私は彼の動きにいらいらし、後輩のつれなさに安堵する日々を過ごしていた。

同じ時期、私がマクロ改善メールを送った日に、彼は私のオフィスに顔を出すようになった。
それは定時後の暗い時間。ほとんど誰もいないときだ。
私はそれがとても楽しみで今日は来るだろうかと思ってた。
彼がきたら私は分かりやすく丁寧すぎる敬語を多用して自分には品があることを主張していた。
絶対に私のレベルではできないマクロの改善を「こうしてみたらいかがでしょうか、それではがんばってください」と突き放すような言葉で絶望させた後、背後から表れるのだ。
「去年の11月から居たから、もう少し早く言ってくれたら良かったのに」と彼は言った。
「私は~さんがそちらのオフィスにいるなんて存じ上げなかった」
ふたりはくすくす笑った。

彼は唐突に後輩の女性の席を見て「彼女は何歳ですか?」と言った。
私は少したじろぎ「高卒入社で二年目ですから今年20歳ですね」と答えた。
彼は「若いな」と答え、笑っていた。私も彼に合わせて笑ったが、なぜ彼女の情報が今出てきたのか分からず少し戸惑い…
そしてその戸惑いはずっとしこりとして私の中に蓄積していった。
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登場人物紹介

私:30代後半の女性

昔は綺麗だった。見た感じさほど変わりはないが、今は自分の加齢に悩んでいる。

年上が好みだったが、これから好きになるある男性は年が下かもしれないので落ち着かない。

実体の彼:年令不詳だがおそらく私より年下

優しい、誠実な仕事ぶりの中途入社社員。

こちらから話しかけない限り、ほとんど話さない静かな性格。

私は彼がどの程度年下なのかが分からず落ち着かない。

あるきっかけで私と長い期間社内メールでのみ個人宛てでやりとりをする関係になる。

その後再会した彼は、今まで私が知る彼とは言動、行動が違っていて私は受け入れられず混乱している。

理想の彼:理想化した彼

実体の彼に出来ないことは全てしてくれるが私はだんだん違和感と不安が膨れ上がっていく。

思い出の彼:私の思い出の中にいる彼。

数種類のエピソードを持っており、時が経つごとに輝きが増す。

誰にも共有することが出来ず、なんなら実体の彼すら忘れているエピソードもある。

文字の彼:私と一番長く過ごしてきた彼。

私は再会するまで彼の顔は思い出せず、『文字の彼』として受け入れていた。

私のトラブルをいつも気にかけ、いつでもすぐにメールで助けてくれる安心感のある彼。

彼のただ一つの謎はこんなに優しいのに『感情』が入った文章には一切反応をしないこと。

自称イケメン(ただし本当にイケメンです。)の先輩。

自分に自信があり、仕事も顔も自分が一番だと思っている。

ただ、既婚者なのに女の子をひっかけているところはクズである。

私にはないものばかりで、『ある意味』あこがれの先輩。

『彼』への想いの相談相手になってもらったが…

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