日常マン変身

文字数 698文字

「楊枝手裏剣を受けてみよ。」
 日常マンの武器は日用雑貨である。しかし、いかんせん日用品。特別な威力があるわけでもなく、数メートルも飛ばずにすべて風に流されるのであった。
「暇だな。」
 恐怖団は日常マンそんな攻撃をよそに高みの見物である。
「しかたがない、取って置きの魔球を受けてみろ!」
「そんなへなちょこ球、元甲子園代表の私が打ち返してやる。」
「日常フォークボールだ。」
「グサッ」
 鈍い音とともに、ボールは恐怖団の麩菓子に食い込んだ。ボールには光るとげがいくつも突き出している。
「おい、あぶねえじゃねえか。こいつのどこがフォークボールだ。」
「よく見ろ。ボールにフォークが刺さってるだろ。だからフォークボールだ。」

「こんどは、パームボールだ。」
「だから、椰子の実(パーム)を投げるんじゃねえ。当たったら痛いだろ。」
「ならばワールドカップシュート。」
 パリン、パリン。
「こら、湯のみを投げるんじゃねえ。割れてあぶねえじゃねえか。」
「割るどカップだから。」

 表へ出ると、屋根の上にいるお団子ヘアの男に叫んだ。
「ヒ・ニチジョウ!屋根から降りて正々堂々と勝負しろ。」
「いや、非日常じゃなく、響ジョウだから。」
「ひびきでもいびきでもいいや、そっちがこないなら、こっちからいくぞ。はしごを持ってくるまで待ってろ。逃げるなよ。」
「おいおい、それじゃ日が暮れちまわあ。恐怖団が逃げたと噂されちゃあ名折れだ。はしごは貸してやるから、あがっておいで。」

「おめえ人様に貸しは作っちゃならねえって親にいわれなかったか。」
「いや、家は団子屋だから、毎日人様に菓子を作ってた。」
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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