饅頭対決

文字数 513文字

 「ご苦労様。支部の皆さん、差し入れですよ。」
 そういって、高崎と前橋が箱を出した。甘辛いしょうゆの匂いがただよう。
 「群馬名物焼き饅頭ですよ。」

 二人が揃って言った。
 「ちょっと真似しないで頂戴。」
 「そっちこそ。だいたい、前橋発祥なんですからね。」
 「はっきりしてねえんだろ?眉唾だねえ。焼き饅頭を有名にしたのは高崎だあな。」
 「なら、どっちがうまいか比べてもらおうじゃねえか。」
 「さあ。」
 「さあ。」
 「さ、さあ、さあ、さあ。」
 饅頭の箱を差し出された職員たちは、皆困り顔である。1本におおきな饅頭が4つもついてる。職員たちは、串から外して、それぞれから一個ずつ取っていった。

 そもそも、焼き饅頭は県内各地にある。子供の頃から地元の味に慣れ親しんでいるのだから、いまさら高崎か前橋かと言われても、皆地元が一番に決まっている。

 「皆さん、地元愛に溢れてらっしゃる。結構、結構。ですが、草津の温泉饅頭が一番ですよ。」
 そういって、群馬県知事が現れ、茶色い小ぶりの饅頭を配った。
 「知事、こう甘いものが続くと、お茶が欲しくなりますなあ。」
 腰ぎんちゃくの沼田が後ろから続いて入ってきた。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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