本部長

文字数 710文字

 日常マンは組織自体がまだ若い。なので予算も少ない。そこで、研修は行わず本部長自らがチェック、指導して回る。現在の本部長は創設メンバーの一人である。歴代本部長は『達磨大使』と呼ばれる。理由は手も足もださず、じっと普段どおりの生活を守っていくという組織の理念に基づいている。
『悪が生んだ正義の達磨』
 本部長室には東京達磨の初代本部長が書いたとされる額が飾られている。

 現在の大使は高崎の達磨寺にいたが、寺と達磨組合とのいざこざがあり、達磨工房で達磨を作る職人になったという変わった経歴を持つ。
 職人としては今一で失敗しては親方に怒られていた。そんな時、こう言う。
「工房も筆の誤り。」

 親方が亡くなり、工房が閉まったために日常本部に就職した。ちなみに本部役員は公務員であり手当てをもらっている。出張費も支給される。なので、ボランティアの日常マンを集めるのではなく、役員が指導に出向くほうが経費が浮くのである。
 今回は、日常マン不在の広島県と愛知県に出向いて、面接を行う。広島市のような大都市は東京同様に、日常というものがない。そこで、少し離れた尾道市の候補に会うことにした。坂野マチ。魚の行商を行っている老婆だそうだ。いまどき、珍しい。しかも、毎朝リヤカーで商店街を移動しているという。ぜひとも残したい日常風景である。
 もう一人が名古屋市の茶々戸ネネである。ネネ自身に特別な日常があるわけではないが、彼女の飼っているペットが名古屋の日常を守っているという。いったいどういうことなのか想像もできない。そもそも名古屋にある日常自体が、天むすと味噌カツ、それと喫茶店のモーニングサービスぐらいしか思いつかない。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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