コロコロの真実
文字数 710文字
翌日はしけで水揚げが無かったようで、マチは行商に出ていなかった。しかたがないのでマチの自宅へと向かった。
「ようきんしゃったな。本部長さん自らおらっしゃるとはたいそうなことで。」
白髪の老婆がにこにこして出迎える。
「いえ、仕事ですから。」
そう、言い終わらないうちに鬼の面をかぶった連中が、服の上からコロコロと粘着テープを転がしてくる。
「なんです?」
「気にせんで。埃をとってますけえの。」
そんなに汚れてはいないと思うのだが、されるがままにした。
「ここらじゃ、棒を持った三匹の鬼が突っついて回るベッチャー祭りってのがあっての。客に棒を向けるのは危ないというで、コロコロでもって悪霊を取ってますのんじゃ。じゃからいつしかコロコロ団なんて呼ばれて。」
秋田のナマハゲも近頃では場所によるが包丁の代わりに勉強道具を持っているらしい。
「悪い子はいねかぁ?」
ではなく
「勉強わからねえ子ははいねかぁ?」
と、おしかけ家庭教師のようなことになっているのだろう。
「坂の上から、色々なものを転がしているというのは?」
大使は率直に尋ねた。
「ありゃ、うちらじゃないきに。ゴロゴロ団の仕業じゃ。あやつらも悪気があってやってるわけじゃないんじゃ。この地方にはお接待っといて、子供に菓子を振舞う習慣があってな。近頃、子供たちもこんようになって、観光客にふるまっとるわけじゃ。あぶないき、やめれっちゅうとるんじゃがな。」
ゴロゴロ団というのは寺土セツという人物が率いている集団らしい。しかもこの人物、マチの妹ということだった。もし、ゴロゴロ団が反日常組織となれば、その身内のマチの心象も悪くなるというものだ。
「ようきんしゃったな。本部長さん自らおらっしゃるとはたいそうなことで。」
白髪の老婆がにこにこして出迎える。
「いえ、仕事ですから。」
そう、言い終わらないうちに鬼の面をかぶった連中が、服の上からコロコロと粘着テープを転がしてくる。
「なんです?」
「気にせんで。埃をとってますけえの。」
そんなに汚れてはいないと思うのだが、されるがままにした。
「ここらじゃ、棒を持った三匹の鬼が突っついて回るベッチャー祭りってのがあっての。客に棒を向けるのは危ないというで、コロコロでもって悪霊を取ってますのんじゃ。じゃからいつしかコロコロ団なんて呼ばれて。」
秋田のナマハゲも近頃では場所によるが包丁の代わりに勉強道具を持っているらしい。
「悪い子はいねかぁ?」
ではなく
「勉強わからねえ子ははいねかぁ?」
と、おしかけ家庭教師のようなことになっているのだろう。
「坂の上から、色々なものを転がしているというのは?」
大使は率直に尋ねた。
「ありゃ、うちらじゃないきに。ゴロゴロ団の仕業じゃ。あやつらも悪気があってやってるわけじゃないんじゃ。この地方にはお接待っといて、子供に菓子を振舞う習慣があってな。近頃、子供たちもこんようになって、観光客にふるまっとるわけじゃ。あぶないき、やめれっちゅうとるんじゃがな。」
ゴロゴロ団というのは寺土セツという人物が率いている集団らしい。しかもこの人物、マチの妹ということだった。もし、ゴロゴロ団が反日常組織となれば、その身内のマチの心象も悪くなるというものだ。