会合

文字数 717文字

「いまや川越も休日ともなれば人が集まってくる。だが、問題は平日だ。駅からも離れているから通勤客もこない。主婦は急がしいから途中の大型店で引き返しちまう。なにかいいアイデアはないかね。」
 月に一度の商店街の寄り合いで、会長は困っていた。

「駄菓子も子供たちが塾通いでやってくる間もないときた。」
 駄菓子屋横丁の店主だ。
「先週のことだが、駐車場が解りづらいって言われた。」
「あの時は、祭りだったから街の中は駐車禁止にしちまったからな。」
 青年部の連中も頭を抱える。
「外国人の客が京都の二寧坂に比べて町並みが貧弱だといってたな。」
「こっちは、江戸村帰りの客で、小江戸というより、ここ、え?どこって言われた。」
 それもしかたがない。江戸風の建物はわずかで、大半が大正・昭和風の建物なのだから。

「遅れてすみません。親父が腰痛でこれなくなっちまって。」
 左半次が、公民館の会議室に入ってきた。
「遅れてきた罰だ。何かアイデア出しな。」
 会長の言葉に
「日常マングッズってのはどうでしょ。マージン50%で。」
 席に着きながら手製の薄汚れた小さな人形を出した。
「また、売り込みかい。小道具も日用雑貨なんだから、おめえんとこしか儲からねえじゃねえか。」
「だいたい、変身ったって、頭の手ぬぐいひっくり返すだけじゃねえか。せめて、他県のご当地キャラぐらい派手にできないもんかね。」
 年寄り達はここぞとばかりに溜まっていた鬱憤を晴らしにかかる。
「あんなん、重いし動きづらいし着替えるのが大変じゃん。それにいつも持ち歩けんでしょ。」

「そこでだ、ちょっといい考えがあんだよ。」
 左半次いきつけの団子屋がにやにやしだした。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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