県南の戦い

文字数 600文字

 「ほぼほぼ埼玉扱いされてきた練馬の意地をみせるぞ!」
 練馬は地元愛がとにかく強い。どうやら、練馬のやつは本気で埼玉を傘下において、都心の連中を見返したいらしい。
 新座・和光といった川向こう連合も、本音では腐っても東京ブランド、練馬にあやかりたい。そして、いっそそのまま東京側に入れないかとも考える。
 各地区の代表の思惑がからまって練馬と川向こう連合が結成された。

 一方、戸田は同じ埼玉なのにほぼほぼ東京というお高いイメージの川向こうに一泡吹かせてやりたかった。川口、川越といった近隣の支持を着実に集めていった。そして、疎外感の強い東の春日部と、多摩への対抗意識に燃える西の秩父の協力も取り付けた。

 が、同じ県南でも、大宮・浦和は様子見をした。元々、仲の悪い大宮と浦和だ。
 「浦和のやつ、県庁所在地ってだけで、偉ぶりやがって。」
 「新幹線が止まれば偉いってもんじゃないんだ。」
 まるで群馬の高崎と前橋。
 それに反して、冷ややかなのは、県南からはほぼ群馬と思われている熊谷を中心とした県北、熊谷組。県北内部でも熊谷以南から見れば、深谷や羽生はもう群馬。しかも、県北は深谷ねぎのせいで田舎扱いされる始末。傍目には仲のよさそうな秩父も、山猿でしかない。かといって、大宮・浦和と協力するのはプライドが許さない。

 かくして、荒川を挟んだ、練馬と戸田の一騎打ちが幕を開けたのであった。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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