ゴロゴロ団

文字数 604文字

「何じゃ!姉さんの使い?説教なら聴く耳もたんけん。この栗やるけえ帰りんしゃい。」
 セツは大使を追い帰そうとする。
「私は、ゴロゴロ団の活動内容を伺いたいだけでして。」
「そぎゃなもん、ありゃせん。みな好きにしようと。街のモンが勝手に、何とか団っち騒ぎようだけじゃ。今まで怪我だけはさせんよう、言い聞かせとる。よそモンが、口出しするこたなかろうも。」
 何だか、意地になっているようにも見える。

 とりあえず、ここは退散して、聞き込みをするしかない。セツの家を出ると、後ろから数名の若者が追いかけてきた。
「待ってください。」
 若者は、大使を呼び止めるとわき道に入っていった。
「女将さんは、マチ姉さんに認められたいだけなんですよ。ゴロゴロ団だってコロコロ団に対抗して作ったんです。旦那、何とか姉妹仲直りさせてやりたいんです。」
 ゴロゴロ団の若者は大使に懇願した。最近の連中はよそものには方言は使わないようだ。

「ところで、皆さんは普段どんな活動を?」
「家で、ゴロゴロしてます。」
 なるほど、まさにゴロゴロ団って、ただの引きこもりだっての。
「どうやって、生活を?」
「懸賞やら優待やら、特技を生かした無職です。御曹司もいます。」
 川越の例もあるので、無職が悪いってわけではない。が、左半次と恐怖団の場合は、地域との交流がある。かたや、ゴロゴロ団は引きこもり。日常に貢献しているとは言いがたい。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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