一本釣り

文字数 429文字

 日常本部の役員は役職に応じた名前で呼ばれ、実名は明かさない。それは組織の内容が敵に知られないようにするためだ。本部長は『達磨大使』。理事長は『大日如来』。事務長が『弥勒菩薩』。もっとも、影ではそれぞれ、『ダルマだし』、『大好き女体』、『魅力お札』と呼ばれている。
 役員は各地の日常マンから適任者を一本釣りする。現在のところ次期役員候補として川越の左半次が上がっている。

 ホテルでくつろいでいると、本部からの連絡が入った。
「坂野マチがコロコロ団とつながっているという連絡がありました。至急コロコロ団の実態を調査してください。」
 本部のAIオペレータの声だ。日常マンは年養鯉が多いので通信は主に電話で行う。人間というものは日常会話が基本だ。そのため、本部には24時間体勢でAIのオペレータが稼動している。

 達磨大使本部長、うだうだ考えるのが大の苦手。行動あるのみ。マチに直接聞くことにして、その夜は恒例となっている一人カラオケへと出かけていった。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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