談合
文字数 725文字
「今いくから、そこでおとなしく待っていろ。」
左半次は、恐る恐る急なはしごを上り始めた。
「旦那、売り切りました。」
手下の販売員が次々と戻ってきた。
「おっと、団子屋の談合に遅れちまう。皆様。次回の販売は午後3時。時の鐘を合図に開始します。」
そう叫ぶと、恐怖団は去っていった。
「やい、上ってきたぞ。」
左半次が震えるひざでやっと屋根に上ると、すでに誰もいなくなっていた。
「え~。誰かいませんか。何か忘れてますよ~。」
左半次の声に
「いけない。危うく、置いてっちゃうとこだった。ありがとよ。」
団員の一人があわててはしごを持っていった。
「何だ。また逃がしちゃったよ。」
客達は勘定を済ませると次々と店を出て行った。
「は~い。ヒーローショーはお終いだよ。今度は3時のおやつで寄っとくれ。」
店主は客のいなくなった店先を片付け始めた。
「こっちはマジなんだがな。」
どうにか屋根から下りてきた左半次が支払いをしながら店主につぶやく。
「違法なんだろ。警察は来ないのかい?」
観光客の一人が店主に尋ねる。
「路上販売なら捕まりますけど、あいつら人の店ん中で売るんですよ。」
「店が通報しないのかい。」
客は不思議がった。
「それが、最近はあいつら目当てに客が集まるんで誰も文句を言わない。客達が面白がって、左半次をたきつけるんですよ。なもんだからすっかり名物になっちまって。」
「一本百円は高いだろ。」
客はなおも食い下がる。
「老舗の団子屋で、ものは確か。しかも、串を持っていくと駄菓子が当たるクジ付き。やつの店は商店街から離れてるんで、そうでもしないと客が行かないんでさ。」
店主は殻の器を奥へ片付けた。
左半次は、恐る恐る急なはしごを上り始めた。
「旦那、売り切りました。」
手下の販売員が次々と戻ってきた。
「おっと、団子屋の談合に遅れちまう。皆様。次回の販売は午後3時。時の鐘を合図に開始します。」
そう叫ぶと、恐怖団は去っていった。
「やい、上ってきたぞ。」
左半次が震えるひざでやっと屋根に上ると、すでに誰もいなくなっていた。
「え~。誰かいませんか。何か忘れてますよ~。」
左半次の声に
「いけない。危うく、置いてっちゃうとこだった。ありがとよ。」
団員の一人があわててはしごを持っていった。
「何だ。また逃がしちゃったよ。」
客達は勘定を済ませると次々と店を出て行った。
「は~い。ヒーローショーはお終いだよ。今度は3時のおやつで寄っとくれ。」
店主は客のいなくなった店先を片付け始めた。
「こっちはマジなんだがな。」
どうにか屋根から下りてきた左半次が支払いをしながら店主につぶやく。
「違法なんだろ。警察は来ないのかい?」
観光客の一人が店主に尋ねる。
「路上販売なら捕まりますけど、あいつら人の店ん中で売るんですよ。」
「店が通報しないのかい。」
客は不思議がった。
「それが、最近はあいつら目当てに客が集まるんで誰も文句を言わない。客達が面白がって、左半次をたきつけるんですよ。なもんだからすっかり名物になっちまって。」
「一本百円は高いだろ。」
客はなおも食い下がる。
「老舗の団子屋で、ものは確か。しかも、串を持っていくと駄菓子が当たるクジ付き。やつの店は商店街から離れてるんで、そうでもしないと客が行かないんでさ。」
店主は殻の器を奥へ片付けた。