因縁のライバル対決

文字数 795文字

 達磨大使が各地を視察しているころ、地元群馬では大変な騒ぎが起きていた。
 「県庁所在地ってだけでいばんじゃねえ。」
 「なんだと。こっちには萩原朔太郎がいるんだ。達磨と観音山だけのやつに言われたくないね。」
 「新幹線だってあるんだ。うらやましいだろ。」
 「あんなん、速いだけじゃねえか。ほかにとりえがあんのかよ。」
 「うまい駅弁があんだよ。釜飯に朝粥。新幹線で弁当買うだ~。」
 群馬支部の中で高崎と前橋が言い争っている。相変わらず、仲が悪い。
 「だいたい、海もないのになんで崎なんだよ。そりゃサキじゃなくてサギだよ。」
 「井伊直政ゆかりのありがたい名だ。おめんとこの橋も元は端じゃねえか。崎も端のことで一緒なんだよ。」
 とにかくこの二人顔を会わすといがみ合っている。
 「誰ですか、この二人は必ず時間を分けて召集するように代々申し送りがあるでしょ。」
 支部長の渋川が担当者たちに向かって注意している。
 「だいたい、支部長があと一年で定年って時に、いきなり辞任するなんて言い出したからじゃないですか。」
 「だって、達磨のやつが本部にいる限り、支部長どまりだもん。」
 本部には同じ県からは複数人出せないことになっている。
 「だからって、仮病まで使うことはないでしょ。あ、メイクさん、目のクマが垂れてる。それに肌の黄色いドウランもはげかかってる。衣装!シャツは隙間が出来るように一回り大きい首のものにしろって言ったよね。」
 職員があたふたと走り回る。
 「支部長の定年を延長するように頑張ってんですから。」
 「皆で、ふりかけ麻醤(マージャン)を隠れて売ってたのばれちゃったんだからしかたないだろ。」
 「闇営業なんてするからですよ。」
 「ぴりからで、白飯に合うって、評判良かったんだよ。だいたい1本百円ぽっちなんだし。」
 「達磨さんは、不正には厳しいですから。」
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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