荒川対戦

文字数 522文字

 埼玉支部は群馬支部以上に混乱を極めた。
 「どうして、練馬と一緒なんですか。」
 本部から説明に来た職員に会場から怒号が飛ぶ。
 「ですから、この際に飛び地解消のためにですね。そのほうが、活動にいいかと。」
 職員は説明しながらしきりに汗を拭いていた。
 一番反対したのは、春日部であった。そこそこ知名度もあるが、川越や大宮に比べて、東京からのアクセスが悪い。おまけに最近では県北の熊谷のほうが日本一暑いと有名になり、新幹線も止まる便利さで、忘れられがちだ。
 「まあ、いいじゃあいか。」
 秩父がなだめるが、春日部の怒りは収まらない。
 「おめんとこは、もし多摩と合併したら黙ってられっか?いくら練馬が東京で馬鹿にされているっていっても埼玉に来れば目立っちまうだろ。所沢だってそう思うだろ。」
 「いや、うちとしては念願の直通バイパスができて、これから一緒にやっていこうって矢先なんだ。ありがたいことだよ。」
 「チッ、裏切り者め。戸田はどうよ。」
 元々川向こうの新座や和光は、俺たちは東京都だと思っている節がある。それに対して対岸の戸田や川口は東京側を毎日苦々しく見ていた。

 こうして、荒川を境に、戸田対練馬の支部長選が始まった。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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