団子屋『響』
文字数 548文字
ところ変わって、商店街から少し離れたところに位置する団子屋。その名も『響』。江戸のころからの老舗だが、今のメインストリートから外れているので、客が来ない。
「いつか、街一番の団子屋になる。」
死んだ先代の口癖だった。その店を継いだのが、ジョウだった。そんな店主の遺言が
「ナンバーワンなんてことはもう言わねえ。オンリーワンの団子屋になれ。」
だった。
「街で唯一の団子屋になる。」
その時、ジョウは誓った。そのため、街中の団子屋を潰そうとするのだが、どうもうまくいかない。
それでも、つぶれないのは街の人の情けだった。店に人が来ないから、毎日さばけるだけの決まった数の団子しかつくらない。押し売りスタイルだが、通信販売も卸もしない。だから、どの店も日に数百本の響枠を除いたところで競争しているのである。考えてみれば、たかが一件の団子屋がどうあがいても商店街全体をまかなえるわけがない。
「おもしれえからいいんじゃね。」
町のみんなも客が呼べるならと、大目に見ている。左半次は真面目だが、ジョウにしてみれば彼とまともにやりあうのは得策ではない。正義の味方のいない悪役は誰からも愛されない。
「団子は愛だ。最後の一軒になっても戦いぬくぞ。」
ジョウの勘違いはまだまだ続くのであった。
「いつか、街一番の団子屋になる。」
死んだ先代の口癖だった。その店を継いだのが、ジョウだった。そんな店主の遺言が
「ナンバーワンなんてことはもう言わねえ。オンリーワンの団子屋になれ。」
だった。
「街で唯一の団子屋になる。」
その時、ジョウは誓った。そのため、街中の団子屋を潰そうとするのだが、どうもうまくいかない。
それでも、つぶれないのは街の人の情けだった。店に人が来ないから、毎日さばけるだけの決まった数の団子しかつくらない。押し売りスタイルだが、通信販売も卸もしない。だから、どの店も日に数百本の響枠を除いたところで競争しているのである。考えてみれば、たかが一件の団子屋がどうあがいても商店街全体をまかなえるわけがない。
「おもしれえからいいんじゃね。」
町のみんなも客が呼べるならと、大目に見ている。左半次は真面目だが、ジョウにしてみれば彼とまともにやりあうのは得策ではない。正義の味方のいない悪役は誰からも愛されない。
「団子は愛だ。最後の一軒になっても戦いぬくぞ。」
ジョウの勘違いはまだまだ続くのであった。