団子屋『響』

文字数 548文字

 ところ変わって、商店街から少し離れたところに位置する団子屋。その名も『響』。江戸のころからの老舗だが、今のメインストリートから外れているので、客が来ない。
「いつか、街一番の団子屋になる。」
 死んだ先代の口癖だった。その店を継いだのが、ジョウだった。そんな店主の遺言が
「ナンバーワンなんてことはもう言わねえ。オンリーワンの団子屋になれ。」
 だった。
「街で唯一の団子屋になる。」
 その時、ジョウは誓った。そのため、街中の団子屋を潰そうとするのだが、どうもうまくいかない。

 それでも、つぶれないのは街の人の情けだった。店に人が来ないから、毎日さばけるだけの決まった数の団子しかつくらない。押し売りスタイルだが、通信販売も卸もしない。だから、どの店も日に数百本の響枠を除いたところで競争しているのである。考えてみれば、たかが一件の団子屋がどうあがいても商店街全体をまかなえるわけがない。

「おもしれえからいいんじゃね。」
 町のみんなも客が呼べるならと、大目に見ている。左半次は真面目だが、ジョウにしてみれば彼とまともにやりあうのは得策ではない。正義の味方のいない悪役は誰からも愛されない。
「団子は愛だ。最後の一軒になっても戦いぬくぞ。」
 ジョウの勘違いはまだまだ続くのであった。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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