ヨクジョウマン

文字数 557文字

 日常マンはその業務を商売に利用してはいけないのだが、ボランティアといえどもお金はかかる。銭湯代も牛乳代も出ない。当然、危険手当も無い。
 本部も手当てを検討したこともあった。しかし、某ボランティアが日当千円で検討しているので、それを超えないようにと官邸から要請があった。そのため、時給100円と設定したところ、振込み手数料のほうがかかってしまうため断念した経緯がある。

 ユダにとって銭湯指導はバランティアだが、実益も兼ねている。外国人相手に日本の銭湯グッズを売っている。本部からも活動と直結しているわけではないので特に注意もない。
 一番の人気はシャンプーハットである。軍人などではスキンヘッドやそれに近い髪形も多い。そのため泡が目や口に流れ込んできやすい。次が日本手ぬぐい。使うだけでなく、おみやげとして買っていく。背中洗い棒も人気である。マイナーなところでは、百ドル扇子。風呂上りに百ドル札模様の扇子を広げてリッチな気分を味わう。通になると、牛乳瓶のふたを開けるピックを自前で用意するものがいる。マイピックである。
 ステテコや浴衣を欲しがる客もいるが、サイズがまちまちの上、特大サイズが多いため貸し出しだけで販売はしていない。

「コレガ、ニホンノ、ヨクジョウデス。」
 ユダは今日も銭湯で訓練に励む。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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