ネネとネコ

文字数 616文字

 大使は、尾道を後にすると、名古屋に向かった。そこには茶々戸ネネがいた。ネネは特別だった。彼女自身が日常マンとして活動しているわけではない。なのでコネだろうとささやく連中もいたが、主役はネコなのだ。
 「ミャー。」
 ネネが飼っているのは、いたってどこにでるような普通の黒猫のネコ。何が違うのかは一見しただけではわからない。
 「ネコゆうんか。おみゃーさん、きゃわゆうてえかんわ。」
 「ミャー。」
 頭をなでられて、眼を細める猫。いたって、自然に見える。

 「すんまへん。名古屋城へはどなんしていきますねん。」
 関西からの旅行客だろうか。交番の前にいた警官に道を尋ねている。
 「この道をまっすぐ行くと・・・。」
 警官がおばさに答えていると、
 「ミャー。」
 猫がひと鳴きした。
 「バス停があるだで、それに乗りゃえーて。」
 「でら、ありがとうね。おみゃーさん、ええ男じゃねぇ。惚れてみゃうだぎゃ。」

 この猫の声を聞くと、誰もが名古屋弁を使うようになってしまう。性格はかわらいようだが。名古屋弁普及のために活動しているということが認められて、ネネは日常マンとなった。同じようなのが、岡山。岡山といえば桃太郎伝説。とくれば、キジ。「ケン」と鳴くと、語尾にジャケンが着く。和歌山には犬がおるワン。青森じゃ猿ダッキャ。かれらは、まだマイナーなため候補生止まり。
 遠くから、彼女たちの活動を見て、大使は東京へともどった。
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登場人物紹介

日比野左半次(ひびのさはんじ)

食後にお茶を飲むと日常マンになり悪と戦う。

響ジョウ(ひびきじょう)

川越の団子屋店主。恐怖団団長。

お団子ヘアが特徴。

違法営業で商店街を乗っ取ろうとしている。

新喜六(しんきろく)

桐生の酒屋の店主。

酒饅頭を食べると日常マンになる。

五月蝿岩代(うるさいわよ)

京都の小さな加茂の端(かものはし)神社の神主。

先代の神主である夫・五月蝿以蔵(うるさいぞう)の後を次いだ。

餅を食べると日常ウーマンになる。

井伊ユダ(いいゆだ)

浅草で活動する唯一の外国人、日常マン。

湯上りのコーヒー牛乳で変身する。

牧師である彼は手ぬぐいの白地を表にして首から下げている。

達磨大使(だるまたいし)

日常本部2代目本部長。

全国の日常マンたちの活動を視察して回る。

本部長キャッチコピー『悪が生んだ正義の達磨』

坂野マチ(さかのまち)

尾道で魚の行商をしている。

コロコロ団のゴッドマザー。

茶々戸ネコ(ちゃちゃどねこ)

名古屋の日常ウーマン、茶々戸ネネが飼っているネコ。

その鳴き声を聞くと誰でも名古屋弁がでてしまう。

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